2024年11月6-8日 第97回 日本生化学会@パシフィコ横浜ノース
シンポジウム 「オルガネラヒモロジー~マッチングが規定するオルガネラの弦~」
オーガナイザー:杉浦 歩 先生 (順天堂大学大学院医学研究科)、長島 駿 講師 (当室)
「Mitofusin1/2による褐色脂肪細胞の分化制御機構をヒモ解く」 口頭発表 長島 駿 講師
オルガネラ*1同士のマッチング機構・細胞分化における役割・オルガネラの機能を解析するための新規評価法について、6人の先生方が最新の知見をご紹介されました。長島講師は、順天堂大学の杉浦先生と共に本シンポジウムを企画し、当室の志村(D3)が中心となり研究を進めている、褐色脂肪細胞の分化過程におけるミトコンドリアダイナミクス2制御遺伝子の新規機能の解明に関する研究成果を発表しました。


*1 オルガネラ
細胞内に存在する小さな構造体で、それぞれ独自の機能を持つ。例えば、ミトコンドリアは細胞のエネルギー源となるATPを産生し、粗面小胞体はタンパク質の合成、滑面小胞体はカルシウムの貯蔵と放出を担う。1オルガネラ=1機能というわけではなく、1種のオルガネラが多様な機能を担うことがわかってきている。
*2 ミトコンドリアダイナミクス
私たちが中学・高校の生物で習うミトコンドリアの多くは、ラグビーボール型のシルエットに内膜や外膜が描かれたイラストである。しかし、実際のミトコンドリアは細胞の分化レベルや生理的環境の変化に伴いチューブ型構造もとる、融合⇄分裂を繰り返す動的変化(ダイナミクス)を示すオルガネラである。近年、ミトコンドリアダイナミクスの生物学的意義が少しずつ明らかになってきたが、今もわからないことの方が多く、オルガネラの研究分野における命題の一つとなっている。