問題 1 ある神経細胞の細胞内外のイオン濃度は次のようである。
[K+]o=5mM, [Na+]0=130mM, [Cl-]0=120mM, [Ca2+]0=4mM,
[K+]i=150mM, [Na+]i=13mM, [Cl-]i=12mM, [Ca2+]i=80 X 10-9 M,
ただしガス定数 R= 8.314 J/K・mol (8.314 V・C/K・mol) ; ファラデー定数 F= 96500 C
絶対温度=摂氏温度+273; lnA=2.30log10A ; log102=0.3010 ; log103=0.4771
1-1 36℃におけるK+イオンの平衡電位を求めよ。
1-2 25℃におけるCa2+イオンの平衡電位を求めよ。
問題 2ある神経細胞ではK+, Na+, Cl- イオンのそれぞれの平衡電位がEK= -80mV, ENa= +55mV, Ecl= -60mVであるとする。
この細胞の静止状態における各イオン種に対するコンダクタンスは gK= 6.0 nS , gNa= 1.0 nS , gCl= 2.0 nS であった。
( 1nS=1 X 10-9 S)
2-1活動電位が発生し、その脱分極のピークでは Na+ に対するコンダクタンスが静止状態の200倍になっていた。
静止電位から計った活動電位の大きさはいくらか?
2-2その後、活動電位の後過分極相の底では膜電位が −75mVであった。このときNa+ およびCl- イオンに対する
コンダクタンスは静止状態と同じ値であった。K+
イオンに対するコンダクタンスを求めよ。
2-3 活動電位の不応期とは何か、またその原因は何か? 説明せよ。
問題 3 ある神経細胞では静止電位が -70mV 、 静止時の膜コンダクタンスが 2nSであった。
この細胞には興奮性と抑制性の二種類のシナプス入力がある。
3-1興奮性シナプスのシナプス前終末のシナプス小胞小胞には一個あたり500個のグルタミン酸が含まれているとする。
グルタミン酸受容体の1個のコンダクタンスは2pS(1pS=1X10-12S)であるとする。グルタミン酸受容体チャネルの
反転電位は -20mVであるとする。神経インパルスがシナプス終末に到達していくつかのシナプス小胞がシナプス前膜に融合し、
グルタミン酸を開口放出した。放出されたグルタミン酸は全てシナプス後膜のグルタミン酸受容体に結合した。
このとき興奮性シナプス後電位(EPSP)の大きさ(静止電位からの脱分極方向の変化を正とする)は30mVであった。
放出されたシナプス小胞は何個であったのか?
3-2 抑制性シナプス入力によるコンダクタンス増加は4nSであった。
興奮性と抑制性のシナプス入力が同時に入力したとき、シナプス後電位の大きさ
(静止電位からの脱分極方向の変化を正とする)はいくらか?
問題 4微量のアセチルコリンを内液に含んだガラス電極をもちいて筋細胞の膜からSingle channel recordingを行った。
膜電位を +70mVから-70mVの異なる値に電位固定のしたところ図に示すような電流が記録できた。
電極内にアセチルコリンを含まない条件ではこの電流は記録できなかった。
4-1筋肉に発生する終板電位はアセチルコリン受容体の活性化によって発生する。
アセチルコリン受容体のイオンチャネルの反転電位が終板電位の反転電位である。
アセチルコリン受容体チャネルの反転電位はいくらか?
mV
4-2アセチルコリン受容体チャネル一分子のコンダクタンス(抵抗の逆数)を求めよ?
なお、必要な数値は図から読み取り、どのようにして計算したのかを回答中に示せ。
問題 5
5-1 イオンの平衡電位とは何か。簡潔に説明せよ。
5-2 細胞の膜電位が静止電位にある時、膜を隔てたイオンの流れは存在するか否かを議論せよ。
5-3 シナプス伝達の量子仮説とはどのようなものか説明せよ。