生体情報学II 期末試験問題 1997/1/28実施
問題 1
1-1
イオンの平衡電位とは何か。説明せよ。
1-2 ウミウシの神経細胞の細胞内外のイオン濃度は次のようである。 25℃における各イオンの平衡電位を求めよ。 [K+]o=10mM, [Na+]0=480mM, [Cl-]0=490mM, [Ca2+]0=5mM,
[K+]i=250mM, [Na+]i=60M, [Cl-]i=49mM, [Ca2+]i=1.0 X 10-7 M,
ただしガス定数
R= 8.314 J/K・mol (8.314 V・C/K・mol) ; ファラデー定数 F= 96500 C絶対温度
= 摂氏温度 + 273; lnA=2.30log10A ; log102=0.3010 ; log103=0.4771
1-3
温度が零下23℃ではK+ イオンの平衡電位はいくらになるか?
問題
2 ヒトの、ある神経細胞ではK+, Na+, Cl- イオンのそれぞれの平衡電位がEK= -75mV, ENa= +55mV, Ecl= -60mVであるとする。この細胞の静止状態における各イオン種に対するコンダクタンスは gK= 6nS , gNa= 1nS , gCl= 3nS であった。( 1nS=1 X 10-9 S)2-1
この細胞の静止電位はいくらか?
2-2
この細胞の(入力)抵抗はいくらか?
問題 3
あるグリア細胞には電位依存性のイオンチャネルが存在せず、細胞の入力抵抗は40M?、?膜容量は?????X 10-9 F であった。この細胞に微小電極を刺入し、この電極から2nAの電流を流し続けた。3-1
充分に時間が経過したとき電位変化はいくらになるか?
3-2
この時、電位変化が最終的な電位変化の63%のに達するまでの時間はいくらか?
問題 4
ある神経細胞では静止電位が -60mV 、 静止時の膜コンダクタンスが 1nSであった。この細胞に興奮性と抑制性の二種類のシナプス入力がある。4-1
興奮性シナプスのシナプス前終末にはグルタミン酸の詰まったシナプス小胞があり、各小胞には2000個のグルタミン酸が含まれている。グルタミン酸受容体の1個のコンダクタンスは2pS(1pS=1X10-12S)であり、シナプス後膜にはこれが3000個存在する。この受容体チャネルの反転電位は -30mVである。 神経インパルスがシナプス終末に到達して一つのシナプス小胞がシナプス前膜に融合し、グルタミン酸を開口放出した。放出されたグルタミン酸のうち50%がシナプス後膜のグルタミン酸受容体に結合した。 興奮性シナプス後電位(EPSP)の大きさ(静止電位からの脱分極方向の変化を正とする)はいくらか?
4-2
抑制性シナプスからは??アミノ酪酸(GABA)が放出される。GABA受容体チャネルの反転電位は-64mVである。 いま、抑制性シナプスからGABAが放出され、GABA受容体チャネルの活性化によるコンダクタンスの増加が3nSであった。 抑制性シナプス後電位(IPSP)の大きさ(静止電位からの脱分極方向の変化を正とする)はいくらか?
4-3
興奮性と抑制性のシナプス入力が同時に入力したとき、シナプス後電位の大きさ(静止電位からの脱分極方向の変化を正とする)はいくらか?
問題 5
神経細胞の発生する活動電位は all-or-noneの性質を持つといわれる。5-1
all-or-noneであるとはどういうことか説明せよ.
5-2
なぜall-or-noneになるのか説明せよ.
5-3
all-or-noneであることの意義を述べよ。
問題 6
神経細胞の細胞膜に存在する神経伝達物質受容体をメカニズムに基づいて二種類に分類し、それぞれについて簡単に説明せよ。
問題 7
神経細胞の模式図を描き、各部の名称を記せ。