第2回生命科学セミナーを開催しました(6/20(水))。「低分子創薬 〜ファーマからアカデミアへ〜」川本諭一郎 助教(生物有機化学研究室),「好中球細胞外トラップ誘導における酸化リン脂質の関与」四元聡志 助教(免疫制御学研究室)

第2回 生命科学セミナー

日時: 6月20日(水)17時30分〜
場所: 研究3号棟12階 セミナー室 G

 

演題1:「低分子創薬 〜ファーマからアカデミアへ〜」
川本 諭一郎 生物有機化学研究室 助教

 

わずか10年でファーマでの創薬環境は激変し大きな変化を迎える一方、アカデミアで低分子創薬を行う環境が整いつつあります。創薬モダリティが多様化する中、低分子創薬の存在意義は模索し続けなければなりませんが、創薬ターゲットが減少しファーマとアカデミアとの協働が一般的となった今、低分子創薬におけるアカデミアの役割は年々大きくなっていると感じています。
製薬会社では中枢領域や癌領域を中心に創薬研究に従事し、酵素や受容体、チャネル等、多様な生体蛋白と相互作用し得る人工低分子化合物のデザイン、合成に携わってきました。その中の一つ、疼痛関連疾患ターゲットでのメディシナルケミストリー研究では、HTSヒットよりin vitro活性を向上させつつ、中枢移行性を担保した化合物を見出しています。in vivo活性を有する化合物を創出した経緯を交えつつ、製薬会社での創薬環境変化や低分子創薬経験について紹介させていただきます。
 

演題2:「好中球細胞外トラップ誘導における酸化リン脂質の関与」
四元 聡志 免疫制御学研究室 助教

 

ネトーシスは、アポトーシスやネクロプトーシスとは異なる好中球の細胞死様式である。ネトーシスを起こした好中球は,自身のクロマチンを細胞外へ網状に放出して、好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular trap:NET)とよばれる構造物を形成する。NETは、DNAおよび好中球顆粒内の様々な抗菌物質から構成され、病原体の捕獲除去に関与する。我々は、炎症性腸疾患の治療薬であるスルファサラジンならびにサルファ剤である4-アミノフェニルスルホンが、活性化好中球に作用してNET形成を促進することを見出した。両薬剤によるNET形成の促進機構を解析したところ、好中球内の脂質酸化を著明に亢進することが分かった。酸化脂質の網羅的解析から、エーテル型酸化リン脂質の増加が観察され、酸化脂質に対する還元剤がNET形成を阻害することが分かった。さらに、活性化好中球にエーテル型酸化リン脂質を作用させるとNET形成を誘導できることが明らかとなった。以上の結果から、酸化リン脂質の増加がNET誘導機構の一端を担っている可能性が示された。

 

問い合わせ先:
生命科学セミナー担当
分子生化学研究室 柳 茂