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言語科学研究室とは

言語科学研究室は生命科学部にあるただひとつの言語を研究する研究室です。他の研究室とは違い対象となるのが地球上で一番知能が発達している動物、つまり、人間の、それもとくに高度に発達している能力、つまり、言語、を体系的に分析し、その習得のプロセスや、他の生命科学部の研究室に所属している研究者や研究者の卵に必要な言語能力の獲得に関する研究をしています。
 
これを読んでいる皆さんは恐らく全員が何らかの形で第2言語(L2)を学習してきていることと思います。そして、例外なく第1言語(L1)(母語)をもっています。もちろん、習得で苦労するのはL2 の方で、L1はたいてい知らないうちに身につけてしまっています。苦労のひとつとして、日本語では簡単にできることでも、なかなか英語ではうまく出来ない、ということがあります。たとえば、電話番号の聞き取りを日本語ですると簡単にできるけれど、なぜか、英語では聞いても覚えられないというような経験です。英語の数字は子供のころから知っていたはずなのにです。

このように英語を学んだ経験のある方は『知っているのにできない』ということがどんなことか分かっていると思います.第2言語習得研究(SLA)では,このような現象を言語能力(competence)と言語運用(performance)という言葉を使って説明します.
 
L2習得の研究は世界中でされています。地域間の交流が盛んになっていくにつれ、共通語が必要になってくるからです。日本でも、恐らく江戸時代ぐらいまでは、違う地方の人たちがお互いにコミュニケートするのはそれほど簡単なことではなかったかもしれません。標準語の概念がなかったからです。今では、標準語を使えば日本の各地にいる人たちと意思の疎通が出来るようになりました。もちろん、地方によって言葉の使い分けは違いますが。
 
英語は国際語です。これは、いろいろな国の人たちがお互いに英語を使ってコミュニケートするということを意味しています。このような場合の英語はlingua francaと呼ばれます。共通語としての英語は言語を使う人たちの文化的な違いを乗り越え誰にでも分かる言葉です。日本語が母語である日本人も十分に使えるようになる言葉です。だから英語のnative speakerのように話せるようになることを目的にするよりは、世界の人が分かってくれる英語を使いこなせるようになることを目標にした方が、生命科学を学ぶ学生にとって意味のあることでしょう。

言語科学研究室では、世界で行われている最先端の研究成果を学びつつ,言語の獲得、使用に関する実証的な研究を通して、まだ十分に解明されていない言語の諸現象に関するを知見を得ることを目的にしています。

English Language Teaching

生命科学部の英語教育のサポートが,言語科学研究室のもう一つの役割です.生命科学を学ぶためには、英語の運用能力が必要です.英語の授業のサポートは、特に重要です.

生命科学部では学部の1年から3年まで英語関連の授業が設定されています.主に1〜2年では,英語を使って科学を学ぶ為の『学術英語』Academic Englishの習得を目指しています.最新の科学は英語を使って記述されます.科学者になるためには,学術英語の知識と運用能力をいち早く身につけることがとても重要です.そして,学術英語が使えるようになると,英語で新しい事柄を学ぶことができるようになります.

このようなニーズに応えるため,言語科学研究室では,学術英語で使われる重要な表現(collocation, formulaic sequences),語彙(lexis),語法(use),語用(pragmatics)などを研究し,学習者の言語習得につながるような環境作りを目指しています.