第2回生命科学セミナー
日時:5月17日(水)17時〜
場所:研究3号棟12階 セミナー室 G

 

演題1:武田 啓佑さん(分子生化学研究室 D3)
「 MITOLは小胞体-ミトコンドリア接触場において小胞体ストレス応答を制御する」

 小胞体ストレス応答UPRは細胞の恒常性維持機構の一つであり、分子シャペロンの発現誘導やERADの活性化を介して、小胞体の品質管理を担っている。しかしながら、小胞体ストレスが持続すると、一転して、UPRはミトコンドリアの機能障害と細胞死を引き起こす。相反するUPR、生と死の調節機構は未だ不明な点が多く、小胞体関連分野において大きなトピックとなっている。また近年、ミトコンドリアと小胞体間において物理的な膜接触が発見され、両オルガネラ間の新しいシグナル伝達機構として注目されている。当研究室にて同定された膜型ユビキチンリガーゼMITOLは、ミトコンドリア外膜、特に小胞体との接触場に局在するため、小胞体-ミトコンドリア間のシグナル伝達に貢献すると推測されるが、その詳細な機能は不明である。今回私たちは、MITOLの新規基質としてUPRのキーセンサーであるIRE1αを同定した。その結果、UPRの新しい制御機構として、小胞体-ミトコンドリア膜接触の重要性を見出したので報告する。

 

演題2:藤原 祥子教授(環境応用植物学研究室)
「海産性植物プランクトン、円石藻の石灰化機構解明を目指して」

 円石藻は、ハプト藻植物門に属す単細胞性の海産性植物プランクトンで、精巧な美しい形態をもつ円石(石灰化された鱗片)で細胞表面が覆われているという特徴をもつ。中生代白亜紀には円石藻類が繁殖したことが知られているが、その「白亜」という時代の名前はこの頃の特徴的地層が円石藻により形成された白亜の石灰岩であることに由来しており、この頃いかに莫大な量の石灰化が行なわれていたかが窺われる。また現在も、海洋全体で年間数億トン以上ものCO2をCaCO3として沈着していると見積もられており、地球科学的にもCO2問題を考える上でも非常に重要な微生物であると考えられている。また、円石藻は細胞外ではなく細胞内で石灰化が行われる珍しい生物で、細胞学的にも非常に興味深い微生物であるといえる。
 我々はこの円石藻に注目し、その円石形成機構を明らかにすることを目指して様々なツールの開発を行ってきた。本講演では、先ず円石藻の円石形成の視覚化、検出系の確立についてふれ、さらに生化学的および分子生物学的アプローチについて紹介する。