第8回 生命科学セミナー

 

 日時: 1月18(水)17時~
 場所: セミナー室 G

 

講師1:関洋一助教(分子神経科学研究室)
演題:昆虫脳における匂いと色の情報表現

 生物は外界の物理化学的な情報を感覚情報として受容し、生きるために適切な行動を発現する。進化的に離れたヒトと昆虫においても、感覚情報を処理する神経機構については共通する部分が多い。しかし、中枢での感覚情報処理機構についてはまだよくわかっていない。近年ショウジョウバエは、遺伝学的手法の発展や脳を構成する神経細胞の数が少ないことから、脳研究の材料として注目されている。

 本発表では、ショウジョウバエをモデルとした感覚情報処理機構解明のための手法について、嗅覚と色覚を例に紹介する。前半は、匂い情報が約50種類の嗅覚受容体をもとにコードされ、中枢で処理されていく仕組みを明らかにした研究について紹介する。後半は、色覚情報処理機構解明にむけての電気生理学的・行動学的手法を用いたアプローチとその研究成果について報告し、わずか数種類の光受容体をもとにコードされる色情報表現について考察する。

 

講師2 : 原田浩徳教授(腫瘍医科学研究室)    

演題:骨髄異形成症候群(MDS)の病態と発症機序
 血液がんの一つである骨髄異形成症候群(MDS)は、第二の白血病と呼ばれている難治性の血液疾患である。60歳以上の血液がんの中で最も高頻度で、高齢化社会のわが国でその発症の増加が問題となっている。MDSは若年者にみられる急性白血病とは異なり、固形がんと同様の発症機序が推測されている。我々は世界に先駆けて、MDSの責任遺伝子として造血細胞の発生に不可欠な転写因子RUNX1の遺伝子変異を同定した。現在、MDSの臨床検体を用いた網羅的ゲノム・発現解析を行っており、検出した遺伝子異常をヒトiPS細胞・造血幹細胞やモデルマウスを用いて検証し、MDS発症機序の解明を目指している。
 本講演では、これまであまり一般に知られていなかった「MDSの臨床像と病態」について、実は身近な病気であることを知ってもらうために、わかりやすく解説する。