■「高校生物発展講座」のアンケート結果の一部を紹介させて頂きます。

 

「講座の『内容』は適切でしたか」

 → 大変有意義だった:44%,有意義だった:51%,あまり有意義ではなかった:5%,有意義ではなかった0% (講座4回の平均)

 

「来年もこの講座を実施した場合『知人に紹介したい』ですか」

  → ぜひ紹介したい:41%,紹介したい:53%,あまり紹介したくない:6%,紹介したくない:0%

 

【参加者の感想】

・「先端の知見を伺えるのはとても貴重な機会です。ぜひ来年以降も続けて頂きたい」

・「事前に資料をお送りいただけるのは有難い。講義の途中に質問時間を確保しての進行もよいと思います。毎回、新しい知見や研究に接することができ、勉強になりました。また、本校の受験生には、貴大学ではどのような研究を行う(勉強できる)のか紹介できることも幸いでした。同じ学科名でも大学によって研究されていることが異なることを思うと、大変参考になりました。」

・「生命科学の新たな知識を聴く機会はなかなかないので貴重な講座であると思う。」

 

第1回高校生物発展講座「微生物発酵による有用物質生産」 講義担当:時下進一(応用微生物学研究室)

受講者28名 9/22(金)18:00~ 千代田キャンパス

 

1) 高校教科書での記載例

2) 微生物の分類

3) 細胞の表層構造(グラム陰性菌,グラム陽性菌)

4) 呼吸(好気呼吸,嫌気呼吸)と発酵(乳酸発酵等)

5) 発酵食品の製造(醤油,納豆,チーズ等)

6) 発酵の工業利用(アミノ酸発酵,抗生物質)

 

 高校の教科書に記載されている微生物に関する記述について確認後,大腸菌O157の「O」は菌体表層の糖鎖構造の違いによって分類されたものであることが解説され,微生物学の基本から工業的な利用まで講義は広範囲にわたって行われました。

 受講者からは「発酵は嫌気呼吸なのか」「原核生物と真核生物で細胞内に物質を取り入れる仕組みは同じなのか」「酸素が過剰であれば,発酵は行われないのか」など多くの質問が寄せられ,講座は大変盛り上がりました。

 

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第2回高校生物発展講座「ゲノムとエピゲノム」講義担当:松下暢子准教授(分子生化学研究室)

受講者24名 10/20(金)18:00~ 千代田キャンパス

 

 DNAの塩基配列を変えることなく遺伝子のはたらきを決めるしくみである,エピジェネティクス研究の重要性を,もともとは同じゲノムをもつ一卵性双生児でも,遺伝的要素が大きいと言われている多くの疾患の発症に差があることなどから確認され,講義が始められました。

 

1) エピジェネティクスとは?

2) クロマチンとエピジェネティクス

3) エピジェネティクスのメカニズム

4) エピジェネティクスの働き

 

 現行の「生物」教科書のコラム欄等に,ヒストンのアセチル化による転写調節が記載されていることもあり,先生方は最新の研究動向を交えた講義に積極的に質問し,熱心にメモをとりながら受講されていました。

 

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第3回高校生物発展講座「モデル生物を用いた脳科学研究最前線」講義担当:森本高子 准教授(分子神経科学研究室)

受講者25名 11/17(金)18:00~ 千代田キャンパス

 

大学の神経生物学で必要とされる用語・内容の多くが高校「生物」の教科書に記載されていることから,高校「生物」の「刺激の受容と反応」の学習内容が非常に高度であると確認・共有され講義が始められました。

 

1) 高校教科書での神経生物学・行動神経学の取り扱い

2) 神経生物学研究とは?

3) ショウジョウバエと神経生物学

 

ニューロンに接続する複数のシナプスで伝達される興奮・抑制の情報やそれぞれの強弱がニューロン内でどの様に統合され,その際に何が起こっているのか、またそれらがどのようにして軸索小丘における活動電位の発生に至るのか、などの高校でも大学でも教えにくい分野について質疑応答が繰り返され,意見交換を交えながら講座が進められました。

講座の後半で,精神疾患モデルハエとしてショウジョウバエ幼虫を活用した研究が紹介された際には,受講者から驚きと笑いの声が漏れ和やかな雰囲気で講義が進みました。このような最新の研究内容が受講者から高校生に紹介されることが期待されます。

 

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第4回 高校生物発展講座「味を感じるしくみ:味覚受容体・味神経・大脳皮質味覚野」講義担当:井上雅司 講師(分子神経科学研究室)

受講者16名 12/15(金)18:00~ 千代田キャンパス

 

はじめに,高校生物でも行われることが多いギムネマ茶による甘味阻害の実験の,ギムネマタブレットをすりつぶして粉状にしたものを使用する簡易的な方法が紹介され,受講者がギムネマの粉とチョコレートで実際に体験することから講座が始められた。

 

1) 味覚とは? 味細胞と味覚の伝導路

2) 味の種類味はどのように識別されるか

3)「美味しい・不味い」受容と拒絶

学習性の嗜好・嫌悪

4) 甘味・苦味受容体分子はGPCR

5) 全身の臓器の細胞に存在する甘味・苦味受容体

6) 脳における味情報表現

 

講義では,甘味受容体や苦み受容体が口の中にある味蕾の味細胞だけでなく,胃や脳などの細胞にも存在していて細胞外の環境をモニターしていること,また,生まれたときから甘味が嗜好され,苦みが忌避されるが,学習によって苦みもおいしく感じるようになることなど,生物の授業で生徒に紹介できそうな,興味深い話題も解説された。講義の最後には,おふくろの味の記憶,料理人の味覚の繊細さ,食中毒の記憶は1回でも忘れない,植物に味覚受容体はあるのかなどについて受講者から質問され,和やかな雰囲気の中,今年度最後の講座が終了しました。

 

金曜日の夜の講座にもかかわらず,多くの先生方に「高校生物発展講座」にご参加頂きありがとうございました。

来年度の講座の日程や内容等については,詳細が決まり次第ホームページ等でご案内致します。多くの先生方のご参加をお待ちしております。