卒業生メッセージ

活躍する応用生命科学科の卒業生からのメッセージ

本学科を卒業し、社会で活躍されている卒業生の方々の声を紹介します。

渡部 隆哉 さん

平成23年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業
(環境ストレス生理学研究室、現・環境応用動物学研究室)
平成25年 大学院修士課程修了 (環境ストレス生理学研究室、現・環境応用動物学研究室)
東京都福祉保健局健康安全研究センター 広域監視部 建築物監視指導課 ビル衛生検査担当

 環境衛生監視員の主な業務は、環境衛生に関係する施設(床屋さん、美容室、銭湯など)に対して、適切な衛生状態で運営しているかを監視、指導を行う仕事です。その中でも、私が現在勤めている建築物監視指導課は、特別区のビルを専門に監視指導する部署です。ビル内の空気環境や飲料水が、適切な衛生状態に保たれているかを検査しています。我々の仕事が、ビル内で仕事をする方々の環境衛生向上に関わることに責任を感じる共に、やりがいを感じています。自分たちが都民の方々の安心と安全を守るということ常に自覚し、さらなる環境衛生の向上目指し、日々職務に励んでいます。研究生活では、仕事を進めていくうえで重要なことを学びました。研究成果を出すには、自分一人で研究を進めてもうまくいきません。周りの先輩や先生方に報告、相談し、実験手法を検討することで、解決策を見出してきました。こうした経験を活かし、仕事上で困難な課題が生じた時も、先輩、上司と一丸となって解決するよう取り組んでいます。研究生活を共にした先輩、先生方とは今も付き合いがあり、よく食事をしたりします。これらのつながりは、生涯を通じてのかけがえのない私の宝物となっています。みなさんもぜひ、仲間と共に研究に励み、充実した研究生活を送っていただければと思います。

加藤 真悟 さん

生命科学部7期生 大学院博士課程修了 (細胞機能研究室、現・極限環境生物研究室)
国立研究開発法人 海洋研究開発機構 (JAMSTEC) 特任研究員

 生命科学部7期生の加藤真悟です。在校生や受験生に向けて面白おかしいメッセージをください、という依頼を受けたのですが、そういったセンスは持ち合わせていないので、一研究者の月並みの経験談しか送れません。それでも皆さんの今後の進路などを考える上で、何かの足しになれば幸いです。

 私は、細胞機能研究室(現・極限環境生物研究室)で学位を取得した後、同研究室、理化学研究所、米DELAWARE大学と渡り歩いて、現在は海洋研究開発機構というところで特任研究員という肩書きで、鉄を食べて生きている微生物についての研究を続けています。

 学部・院生のときは、誰でもできるような流行りの手法でデータを出して、研究をしているつもりになっていましたが、当然論文にまとめる段階で、その研究内容の「ストーリー性」の無さに気づかされて、博士過程後期のある時期に行き詰まってしまいました。なんとか学位審査までには、それなりのストーリーを展開できたのですが、その時の苦悩は今でもよく覚えています。研究者として生きていくには、ただ黙々とデータを出すだけでなく、面白いストーリーを自分で展開する力を培っていかなければなりません。そんな当たり前のことに気がつくのに、結構な時間を費やしてしまいました。その過程を温かく見守り、そして導いてくださった指導教員の山岸明彦教授には心から感謝しております。学生時代に真剣に悩んで、周りの助けを借りながら、一つ大きな壁を乗り越えた、という経験は、今でも研究者を続けていられる原動力のひとつです。

 自分のわがままを通して、自分のやりたい研究を続けるためには、面白いストーリーを考えるだけではダメで、その面白さを外にうまくアピールできなければいけません。うまくアピールできると、他の人が興味をもってくれるので、人脈が広がりますし、研究を進めるためのお金を獲得しやすくなります。そうすると、より大きなストーリーを構築できるようになります。理化学研究所とDELAWARE大学での研究は、生活費込みですべて助成金によってサポートしていただいて、完全に独立した立場で、やりたい研究を好きなだけやらせてもらいました。そのときのラボメンバーはもちろんのこと、そのつてを通じて様々な機関・分野・考え方の研究者とも仲良くなることができました。異なる研究機関を数年ごとに渡り歩くことは結構大変ですが、その間に作り上げた「多彩で強固な人脈」は大きな財産です。

 海外研究者との人脈づくりは、私がDELAWARE大学に留学した理由の一つです。1年半ほど滞在してきました。DELAWARE大学は、米国東海岸のDELAWARE州というちょっとマイナーなところにあります。米国人でもどこにその州があるのか知らない人が結構いて、DELA…WHERE?という自虐的な洒落が書かれたTシャツが近所のスーパーに売られていました。もちろん研究では、著名な方々が在籍されている素晴らしい大学です。実は、同じ大学の同じラボに、その留学のちょうど1年前位に、2ヶ月ほど短期で滞在したことがありました。そのときはかなりお客様扱いで、向こうのボスとはお互い様子を探りあいながら、それほどぶつかり合うこともありませんでした。しかし、2度目の滞在の1年半の間では、お互い隠していた(?)地が出はじめて、遠慮なく大いに意見を言い合える間柄になりました。はたからみたら、かなり激しく言い合っているようだったらしく、他のラボメンバーから心配されることもしばしばありましたが、よりよいストーリーを構築するためには時には議論を戦わせることも不可欠であると、私もボスも割り切っていて、特に仲が悪くなることはありませんでした(と、私は信じています)。こういった深い関係を築けたことは、非常に大きな収穫です。また、そのような関係を築くためには、学会とか短期留学とかで、ちょろっと話すだけでは時間が足りなくて、少なくとも1年くらいの時間が必要なのかな、とも思います。

 「面白いストーリーを展開」したり、「多彩で強固な人脈」をつくったりするには、もちろん専門的かつ幅広い知識は欠かせませんが、それだけでなく、総合的な「人間力」(抽象的でわかりづらいですが、例えばコミュニケーション能力とか、発想力とか、忍耐力とか、そういうものをすべてひっくるめたものです)も高める必要があります。人間力は、研究者だけに必要なものではなくて、どんな進路に進んでも将来必要になってくるものだと思います。私も学生として過ごせた期間のうちに、意識して「人間力」を高める努力をもっとしてくればよかった、と今になって大いに後悔しています。在校生や受験生の皆さんは、各々いろいろな時間の過ごし方をされていると思います。ここに書いたような経験をした一人の研究者が、こんな後悔をしているんだな、ということを知ることで、皆さんの何か新しいアクションのきっかけになるのであれば、これほど嬉しいことはありません。

宮下 振一 さん

神奈川県立厚木高等学校出身
2011年3月 大学院博士課程修了(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
独立行政法人産業技術総合研究所 計測標準研究部門 無機分析科 環境標準研究室 研究員

  産業技術総合研究所の計測標準研究部門は、日本の計測の基準(計量標準)を作り、社会や産業界に供給する重要な役割を担っています。その中で私が所属する環境標準研究室は化学分野における計量標準の整備を担当し、 日本の環境・食品検査分析の信頼性確保をサポートしています。業務のひと つが組成標準物質を開発・供給することです。組成標準物質とは、分析結果の正確さを確保するために測定の基準として用いられる物質です。現在は玄米粉末標準物質を手がけています。自分が開発に携わった標準物質が日本の計量標準になることに重圧もありますが、自分の存在意義と誇りを感じます。 

 昨今は環境問題や食の安全への関心が高まり、これまで以上に高度な分析技術 や精度管理が求められています。そうしたニーズに応えるため、今後は分析機器・ 技術の開発にも力を入れていきたいです。そのためにまずは、当研究室で開発した分析技術の実用性を証明し、多分野での活用を目指した取り組みを行っています。 

 仕事で迷ったときには厳しい道を選択するのが私のモットーです。大学時代にもあえて厳しいと評判の研究室を選択しました。4年次から海外での成果発表を 義務づけられるなど、何度も冷や汗をかく状況を経験しましたが、そのことがすべて財産となり、今の私を支えています。

大川 元 さん

埼玉県立不動岡高等学校出身
2005年3月 大学院修士課程修了(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室) 
2007年3月 同博士課程中途退学 
足立区 衛生部足立保健所 衛生試験所 勤務

 食品衛生監視員として保健所に4年間勤務し、食品の製造、販売に関する許認可や調理施設の監視指導などに携わりました。2年前に衛生試験所に異動になり、現在は検査業務を担当。食中毒や感染症が発生した場合に微生物やウイルスを検査し原因を明らかにしたり、住民への情報提供などを行っています。食品に関する苦情や相談も多く、まずは話をしっかり聞き、疑問や不安を的確に把握することから始め、わかりやすく伝わりやすい言葉を選んで回答するよう心がけています。問題が解決して「安心しました」「ありがとう」と言ってもらえたときが一番うれしいですね。 

 大学で学んだ微生物やウイルスの基礎的な知識、それに培養方法や検査方法が日々の業務に活用できているほか、住民にわかりやすく回答するスキルや、検査・調査結果を報告するときの文書作成能力も授業や実習を通じて磨かれたものだと思っています。これまでは食品衛生に関する知識が興味の中心でしたが、異動によって検査業務を担当するようになり、食品衛生から公衆衛生全体に関心が広がりました。仕事で得られた情報を職場内だけでなく、他の自治体の監視員や検査技師に対しても発信し、お互いに活用できるネットワークを構築するのが今後の目標です。

大川 佳子 さん

2011年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応用動物学研究室)
2013年 大学院修士課程修了(環境応用動物学研究室)
東京都庁 勤務

 私にとって、修士の2年間はとても有意義で実りの多い時間でした。日々の研究活動を通し、ひとつの目標に向かって熱中することの面白さや、新しい発見に関わることの喜びを感じてきました。実験は失敗と試行錯誤の連続でしたが、粘り強く努力することが結果に繋がることを学びました。また、修士論文の作成により、達成感を得ると共に、大きな自信をつけることができました。

 春からは東京都の衛生監視員として、日本の台所である「築地」で理化学検査を行う予定です。大学で学んだ知識を生かし、「人々の健康を守る」という新たな目標に向かって、首都公務員として社会に貢献することができるよう、今後も努力していきたいと思います。 

照井 敬子(旧姓 渡辺)さん

平成13年 東京薬科大学生命科学部分子生命科学科(細胞機能学研究室) 卒業
平成18年 東京薬科大学大学院生命科学研究科生命科学専攻博士課程修了 博士(生命科学)
平成18年 日本ミリポア株式会社 バイオプロセス事業本部 アクセスサービスラボ入社
平成22年 日本ミリポア株式会社 バイオプロセス事業本部 バリデーションサービスラボ退職
平成23年 国立遺伝学研究所 生命情報・DDBJ研究センター

 私は高校生の時に、生命の進化の番組をみて、東京薬科大学の生命科学部の細胞機能学研究室(現極限環境生物学研究室)で勉強したいと思い、入学しました。私の大学時代の研究テーマは、「地球上に生命が誕生した時の生命は一体どんなものだったのかを、好熱菌を用いて実験的に検証すること」でした。私は、卒業研究から博士過程終了まで、生命科学部の細胞機能学研究室(現極限環境生物学研究室)で先生方、先輩方の親身なご指導のもと、自由に好きなだけ研究をさせてもらいました。また、研究室の備品の管理等を通じて、過ごしやすい研究室の維持を目指し、後輩学生への研究指導を通じて、1人1人に合わせた指導方法を色々と工夫することを学びました。

 博士号修得後、研究室で学んだ、計画性や行動力を社会で活かしたいと思い、日本ミリポア株式会社のバイオプロセス事業本部のバリデーションサポートラボラトリーに就職しました。私の仕事は、目薬や注射剤を製造するときに基となる薬液の細菌検査です。製薬メーカーの製造部門の方と打ち合わせをしながら、試験計画書を作製し、承認を得るまでの一連の作業を納期までに実施します。担当する会社や薬液は複数あるので、正確かつ迅速な作業が要求されました。私が、大学時代に得た計画性と行動力は、顧客との信頼関係を強固にすることに役立ちました。また、試験スケジュールの調整や新入社員へのトレーニング等、問題なく業務を遂行することができました。ミリポアでの仕事は、非常にやりがいがありましたが、育児に集中するために2年前に退職しました。

 最近は、2人の子供の育児の合間に、国立遺伝学研究所でのゲノムデータベースの情報集積作業の仕事を始めました。大学時代に得た研究知識と論文作成の経験は、遺伝子情報を決定する作業に役立っています。現在、家事・育児・仕事と慌ただしい毎日ですが、充実した日々を送ることが出来ています。これも、全て大学院生時代に実験だけでなく、色々なことを経験させてもらったからだと常に感じ、先生方をはじめとする研究室の皆さんに感謝しております。

木下 健司 さん

平成15年3月 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境動態化学研究室)
平成20年3月大学院博士後期課程修了 博士(生命科学)(環境動態化学研究室)
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 勤務

 現在勤務している東京都立産業技術研究センターは中小企業への技術支援を目的としている機関です。皆さんが普段使われている、あるいは目にしている様々な製品や部品はあらゆる信頼性試験や耐久性試験を潜り抜けたものだと考えられます。製品開発や品質証明の他、異物混入等のクレーム対策、品質管理や故障解析には高額な装置が必要となることがあり、会社自身で対応することが困難となります。そのような場合にセンターの所有する機器を利用して頂いたり、技術相談や試験依頼を行っております。私自身も日々、主に中小企業で働く方々からの技術相談への対応や依頼された試験に従事しています。それまではほとんど意識することがなかったのですが、例えば真夏の炎天下の時期を過ぎても退色していない塗装を見て感心するなど、今は街を歩いていても物の見え方が変わるようになりました。

 進学のきっかけは、「生命科学」という響きに惹かれたこともありますが、元々関心のあった環境汚染物質について学びたいということがありました。その後研究室ではダイオキシンの簡易分析法や化学兵器に関係するヒ素化合物の環境中での挙動をテーマとして研究しました。大学生活は勉強やクラブ活動に楽しく充実した時期でしたが、特に研究室に入ってからは先生方をはじめ様々な人と接する機会にも恵まれ、様々な経験をさせて頂きました。当時毎日のように見ていた11階の研究室から見える夜景も懐かしく感じます。大学を出た後は習得したものを実践的な場所で活かしたいという思いがあり、縁あって現在の仕事へ就くこととなりました。現在携わっている研究や業務における対象は工業製品や材料が中心となり、相談内容も多岐にわたりますので、新たに勉強しなければならないことも多いですが、そのベースとなる考え方には、大学時代に細胞培養や動物実験から機器分析まで幅広く学ぶことで得られた経験や知識が活かせていることを、これまでに1000を超える試験に対応するなかで実感しています。

鈴木 忠宏 さん

平成14年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
平成19年 東京大学大学院 農学生命科学研究科 博士後期課程修了 博士(農学)
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所  勤務

 私は独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所において研究に従事しています。非常に長い名前のため名乗るのも覚えてもらうのも大変ですので、前半部分は「農研機構」としてこの機会に覚えていただければ幸いです。宣伝ついでとなりますが、食品総合研究所のHPでは食品への放射性物質の影響に関する論文の簡単な要約や関係機関のリンクなども掲載しておりますので、興味があったら訪問してみて下さい。私自身は食品の汚染原因物質であるかび毒の研究に携わっております。これは、パンや餅などで見られるようなかび汚染の研究ではなく、数年前に話題となった事故米騒動のようなかび由来の毒性化学物質汚染に関する研究です。私はその中でもかび毒の細胞への影響を調べています。かび毒の種類は非常に多く毒性も多種多様ですので、今後も精進して研究活動を進めていきたいと思います。

 応用生命科学科(当時の環境生命科学科)に在籍していた当時には、環境応答生物学研究室(現環境応答植物学研究室)において短い期間でしたがラン藻(シアノバクテリア)の代謝経路に関する研究を行っていました。その一年の経験から物質循環に興味を持ち、大学院の研究内容を選ぶ中で他大への進学を決意したので、学部4年時の研究室生活は人生の大きなターニングポイントとなりました。私の研究室の同期や諸先輩方を見回してみると、研究者の道へ進んだ方々もいますが、その他にも実に多彩な進路を選択しています。何がどのように転んで将来に繋がるかは本当に判らないものです。私が言うのも大変恐縮ですが、大学では行動半径も広がりますので、様々な経験を積んで下さい。きっと人生のプラスとなるはずです。東薬はホームグラウンドとして最高の環境が揃っていますので、行動の起点とするには適した場所だと思います。

水上 薫 さん

平成23年 大学院修士課程修了 (環境ストレス生理学、現環境応用動物学研究室)
東京都福祉保健局 西多摩保健所 勤務

 私は、環境衛生監視員として都民の暮らしに関わる理美容所・クリーニング所・旅館・興行場・公衆浴場・プール・温泉利用施設等が適切な衛生管理を行うよう指導をしています。これらの施設を対象に、法令に規定されている基準にもとづいて、衛生状態や構造設備の検査や、空気環境・水質の検査も行います。最近ではアレルギー性の花粉の測定や環境放射線の測定も行うなど、都民が関心のある環境業務についても取り組んでおり、多くの都民の生活や暮らしの安心・安全に関わりがもてることに、やりがいと責任を感じながら日頃の業務に励んでいます。

 私たちの業務では、多くの法令に基づいて監視指導を行っているため、幅広い知見が必要とされます。その中で、豊富な実習や研究を通して学んだ実験手技、理系全般にわたる幅広い知識など、東薬で培った幅広い技術や考え方を活かす機会が想像以上にたくさんあることを実感しました。在学中には今後の自分に関係ないと思ったことであっても、様々な形で現在の業務につながっているので、生命科学部で習得した多くの知識や経験が私の支えとなっています。様々な分野について学び、知見を広げることができる生命科学部では、将来の選択肢を広げることができます。学生のうちに幅広い分野に触れておくことは、社会人として成長する上で大きな糧になりますので、在学中はいろいろなことに挑戦して、自分の可能性を広げてほしいと思います。

小林 功 さん

平成15年 大学院博士課程修了 (環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
独立行政法人農業生物資源研究所  勤務

 私が高校3年生のとき、東薬大に新学部として生命科学部が開設されることを知りました。環境と生命というキーワードからくる漠然としたイメージしかありませんでしたが、以前から、自然に非常に興味があり、また大小問わず生き物が好きということもあって、生命科学部の環境生命科学科(現応用生命科学科)を受験することにしました。幸運にも合格することができ、生命科学部の1期生としてキャンパスライフをスタートすることができました。大学4年生のとき、環境汚染に関わる研究をしたいと思い、環境応答生物学研究室(現環境応答植物学研究室)で研究生活をスタートさせました。私が担当した研究テーマは、難しい反面、非常に面白い内容だったため、学部4年生から博士課程修了まで同じ研究を続けました。研究を遂行するにあたり、新しい技術を習得する必要があり、博士課程の3年間は、帝京大学医学部八王子キャンパスにて、本格的に藻類の遺伝子工学を学びました。

 卒業後、(独)農業生物資源研究所においてカイコの研究に従事することになりました。この研究所は、農業分野に関する生命科学研究の拠点となっており、農作物や家畜の生産性の向上や農業生物を利用した新たな産業の開発を目標にしています。私は、その目標の達成に欠かすことのできない技術として、カイコにおける大量発現系や遺伝子発現抑制法、それと遺伝子破壊法の研究に携わっています。このような技術を用いて共同研究を積極的に進めており、現在、最も力を入れている研究は、リソソーム病の治療薬になるヒトのカテプシンAの生産です。この研究は徳島大学と共同して行っており、この成果を社会へ貢献できるように日々頑張っています。

 藻類からカイコへと大きく研究対象が変わりましたが、どちらも生命科学の研究であり、実験手法も共通したところがたくさんあります。また、私は生き物が好きです。そのようなことから、スムーズにカイコの研究に移行することができたのではないかと考えています。大学時代に苦労したことや先生方とのディスカッションなどで培ったことが現在の仕事にも役立っています。

今清水 正彦 さん

2002年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
2007年 東京大学大学院 農学生命科学研究科 博士課程修了
アメリカ国立衛生学研究所/国立がん研究所(NIH/NCI) Research Fellow

 私は研究が好きなので、大学卒業後に大学院で博士号を取り、アメリカ国立衛生学研究所の国立がん研究所(NIH/NCI)で基礎研究を続けています。NIHは巨大な研究機関ですが、私の職場はメリーランド州のフレデリックというこじんまりとした町にあります。緑豊かでワシントンDCも近くて住むに良い所と思います。私の職場は、ロシア人、ポーランド人、フランス人、そして日本人(私)と少人数ですが国際色豊かです。偏った考えが優位にならないような批判をし合えること、他の文化を楽しめること等、国際チームで働く利点は多いと思います。研究所では、遺伝子発現を行う酵素反応の正確性を維持する仕組みを調べています。 この酵素反応が間違いだらけだと生物は破綻しますから、正確な酵素反応の仕組みは生物の本質の1つと思います。アメリカに来て幸運だったことは、自分の興味の範囲で、とても深い議論ができる人と出会えたことです。

 仕事選びの基礎となっているのは、生命科学部での師や友人、学問との出会いです。高校の時は、何かしたい強い欲求があったのですが、それが何か良くわからないままブラブラし、卒業するのがやっとの状態でした。それが何であるかが明確になり、目標に向けて健全に努力するようになったのは、生命科学部の沢山の恩師と環境が、自分が育つためのきっかけを提供して下さり、しっかり支えて下さったからです。大学というのは、座って講義を聴いてノートをとっているだけでは、無意味な所と思います。自分が育つきっかけは、もちろん自分にも必要で、私の場合は研究室を訪れたのがそのきっかけと思います。一度足を踏み出せば、生命科学部には、多様な興味を支えてくれる懐の深さがありました(今もあると信じます)。

 また、学年を問わず良き友人に出会いました(友人の方が先輩・後輩という概念に優先するので、全て友人と書きます)。私は3回生の時から、呼ばれなくとも昼も夜も研究室に入り浸っていたので、研究室内に沢山の友人ができました。1つ学年が上の友人の家によく泊まり込み、沢山のこれからの夢を語りました。その友人は、大学院でバイオ教育の会社(リバネス)を作り、今ではその事業を科学全般に広げています。 3つ学年が上の友人(当時)と私は結婚し、アメリカで娘が産まれました。私たちにとってかけがえのない新しい命も、生命科学部での出会いから始まったことになります。海外生活ですから、家族は大きな心の支えになっています。他にも、社会で活躍されている友人は沢山いて、良い刺激になります。私は出世からほど遠いですが、自分の興味の中枢で仕事を行うことは実現できています。この先も研究を続けることに沢山の不安がありますが、10年以上前の大学での出会いが多くを占める今が幸せであることは確かです。

室田 知里さん

平成21年 環境生命科学科(現応用生命科学科)3年終了時、大学院に飛び入学
平成23年 大学院修士課程修了(環境応答生物学、現環境応答植物学)
平成23年 大学院博士課程入学(環境応答生物学、現環境応答植物学)
平成24年より 社団法人日本環境測定分析協会  勤務

 私は小さな頃から環境や生物に関することが好きだったので、将来は少しでもそういったことに関わる仕事がしたいと思い、東京薬科大学生命科学部に入学しました。

 東薬の授業カリキュラムの特徴は、一年次から様々な科目を勉強することです。生物は勿論、数学、物理、化学といった、あらゆる分野の“科学”の基礎となる知識を身につけることができます。そのため学生実習でも、片やマウスの解剖から、遺伝子組み換え、分子モデルのプログラミングやコンピュータシュミレーションまで幅広い分野の実験を経験することができて、とても楽しかったです。

 とくに植物生理学に興味を持った私は、試験資格が得られたこともあり、学部3年生終了後、同大学大学院修士課程へ飛び入学し、環境応答生物学研究室に所属しました。修士課程では、緑藻クラミドモナスのヒ素耐性機構について研究していました。自分にとって最も魅力的な分野の研究に取り組めたこと、そして、家族のような研究室のメンバーと、共に研究に精を出しつつ、年間行事(ソフトボール大会、研究室旅行etc)を楽しめたことは私にとって最高の思い出です。

 まだ博士課程1年を終了したところでしたが、縁あって平成23年に(社)日本環境測定分析協会に就職しました。現在は、環境測定分析を行う会社を一般の方に紹介したり、分析業務新任者向けの研修会を主催したり、環境計量士国家試験に関すること(受験講習会の開催、関連書籍の発行)に携わったりしています。そのため事務仕事がほとんどですが、研修会の準備や書籍の編集作業では、東薬で培った知識やノウハウが存分に発揮されています。

 私は最終的に、人をサポートするような仕事が自分の性格にあっていると思い、現在の職場に決めました。しかし、東薬で得られる様々な知識や経験は、将来的に、幅広い選択肢を与えてくれると思います。

 また、将来の可能性を広げる、という意味では、飛び級もまたその一つだと思います。私は結果として博士課程の途中で就職という形になりましたが、どんな形であろうと、自分が進みたい道に対して大きくプラスになることだと思います。研究が好きならば、一年早く専門的な研究に携わることができますし、就職活動においても、一つのスキルとして自分を後押ししてくれます。

 また、余談ですが私が今携わっている、環境計量士という国家資格も、スキルアップの意味で学生の皆さんにお勧めしたいです。環境測定分析業務を行う会社では必要不可欠な資格であり、そういった職種分野の就職活動の際にも役立つのではないかと思います。試験問題は大学レベルの基礎物理や化学が出題されるので、東薬の授業に真面目に取り組んでいれば十分合格の可能性があると思います。

 現在、将来のビジョンが見えている人も、そうでない人も、東薬の学生生活で自分を磨いて、未来の選択肢を広げていってください。

本原 守利 さん

平成11年 環境生命科学科(現応用生命科学科)3年終了時、大学院に飛び入学
平成13年 大学院修士課程修了(環境応答生物学、現環境応答植物学)
独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 宇宙環境利用センター 勤務

 高度約400kmの宇宙空間を周回している国際宇宙ステーションには、日本が開発した有人宇宙実験施設「きぼう」が取り付けられています。この「きぼう」では、生命科学や物質科学などの科学実験、創薬や新素材創製などの産業応用に結び付く実験、そしてちょっとかわったところでは芸術や文化的表現の試みなど、多様な実験を行っています。私は平成13年に入社して以来、これらの実験を推進する業務に従事してきました。

 入社してからはじめの5年間は、蛋白質の立体構造解析に宇宙実験が役立つことを実証するプロジェクトに所属。製薬企業や大学等の研究機関から集めた貴重な蛋白質試料を実験装置にセットし、ロケットで打上げ、国際宇宙ステーションで結晶生成実験を行い、宇宙船で再び地球に回収するという一連の業務を行っていました。重力がほとんどない宇宙では、溶液内の対流の発生が抑えられるため、非常に静かな環境で結晶が成長し、地上に比べて質の高い結晶が得られます。その結晶を地上に持ち帰り、X線構造解析によって立体構造を調べるわけです。きれいな結晶ほど構造がよく見え、より精度の高いドラッグデザインが行えます。実際に創薬フェーズに進んでいるものがいくつもあり、今後が楽しみです。

 現在は、同じ「きぼう」の利用部門ではありますが、企画推進・計画管理的な業務に従事しています。次年度予算の要求や現年度の実行予算の管理、「きぼう」利用計画に関する企画立案など「きぼう」利用の取りまとめ的立場として多岐にわたる業務を行い、マネージメント能力を磨いています。

 今後も東薬での経験を生かし、人類の宇宙開発を引っ張る技術者を目指して邁進していこうと思っています。

南澤 宝美后 さん

長野県立長野西高等学校出身
2001年3月 生命科学部 環境生命科学科卒業(環境応答生物学研究室)
公益財団法人 がん研究会がん研究所 蛋白創製研究部

 蛋白創製研究部では、人工タンパク質、人工ぺプチド、ナノテクノロジーの技術を活かして、新しいがん治療・がん診断ツールの開発を目指した研究を行っています。その中で私は人工タンパク質や人工ぺプチドをつくっていますが、医療の現場で「使えるものをつくる」のはとても難しいと感じています。ただつくるだけなら簡単なのですが、生体内や血液中でもきちんと働くようにしなければならないからです。それだけにつくったタンパク質が動物実験で機能したときは、うれしさと充実感でいっぱいになります。

 私は実験を行う仕事に就いたので、在学中に学んだ分子生物学や生化学の基礎的知識、遺伝子工学やタンパク質工学の応用的知識を使う機会が多く、授業ノートや実習のレポートを見直すことが何度もありました。所属していた微生物研究部で、興味ある研究テーマについて自分で実験をデザインする訓練を積んできたことも、今の仕事に活かされています。

 また、恵まれた自然環境と機能的な施設の中で、研究に熱心な教授やスタッフの先生、仲間と一緒におもしろい研究材料に向き合えたことは、私にとってかけがえのない経験でした。わからないことを解明していくことの難しさとおもしろさを肌で感じられたことが原点となり、現在の自分があるのだと感じています。

山崎 高志 さん

2013年 大学院博士課程修了(環境応用動物学研究室)
コロンビア大学 博士研究員

世界の大都会で研究を!

 私は現在米国のニューヨーク州にあるコロンビア大学にて博士研究員として研究を行っています。コロンビア大学は新年のカウントダウンで有名なタイムズスクウェアから地下鉄で15分、マンハッタン島では数少ない閑静な住宅街(モーニングサイド地区)にあり、毎朝ニューヨーク市内を走る観光バスの客さんに見下ろされながら通勤しています。

 僕の所属しているJAMES MANLEY博士の研究室では転写やスプライシング、RNAプロセッシングといった遺伝子発現の根幹をなす分子メカニズムの解明に取り組んでいます。今日では分子生物学の教科書を見ればたくさんの分子メカニズムが載っていて、一生懸命勉強した人もいるかと思います(僕も勉強しました!)。かっこよく言えば自分が学んだ教科書の続きを今度は自分が解明して作り上げていくという感じでしょうか。そう思うと少しワクワクしてきませんか?

 ラボメンバーはアメリカ、フランス、中国、日本、ロシア ETC.からと非常に多国籍で、いかにも人種のサラダボウル、ニューヨークといった感じです。ラボの中では英語だけでなく、あっちではフランス語、こっちでは中国語、僕は日本語と多言語が飛び交っています。いきなり友人からヘブライ語で話しかけられたこともあります。生まれて初めて「何語やねん!」って突っ込みました。

 ニューヨークについてはファッションやアミューズメントなどあらゆる流行を生み出す街と言われていますが、実は研究もすごいのです。狭いマンハッタン島にはコロンビア大学の他にもロックフェラー大学、コーネル大学、メモリアルスローンケタリングがんセンターなど世界屈指の研究機関が立ち並んでいます。もし、ニューヨークに旅行する機会があったら、大学や研究という別の視点をもって町を散策してみてください。きっとニューヨークは研究の町として別の顔をあなたに見せてくれると思います。ちなみに僕の友人曰くコロンビア大学でいい研究をする秘訣は「ニューヨークの誘惑に勝つこと」だそうです。

全ては「あなた」次第、グローバルな時代だからこそ、東薬大を使い倒して!

 日本純粋培養の平凡な学生生活をおくった私ですが、幸運にも研究員として留学できたことによって今更ながら多くのことを肌で感じることができています。学生時代に自分はまさに「井の中の蛙」だったのだと思います。そしてバケツの中を意気揚々と泳いでいたら、いきなり日本海にぶち込まれたような感じでしょうか。

 ご存知の方も多いと思いますが、コロンビア大学は世界大学ランキングでもトップ10常連の世界屈指の名門大学です。学生は母国語、英語、さらには第二外国語まで使いこなし、バリバリと専門的な知識を勉強しています。その傍らではしっかりとサークルやクラブ活動にも取り組んでいるようです。私は研究で帰宅が深夜12時を回ることもありますが、そんな深夜でもフリースペースではまだ多くの学生が一生懸命に勉強しています。

 実際に研究留学をしてみて思ったことですが、コロンビア大学の研究設備は東京薬科大学とほとんど変わりありません。言い換えれば東京薬科大学の研究設備は十分に世界レベルだということです。もし学生一人当たりに換算するならば東京薬科大学の方が潤沢なのではないでしょうか。さらにインターネットの普及で世界中の論文はクリックひとつで読むことができます。勉強や実験的なことでつまずいたら、経験豊富な東京薬科大学の先生に指導してもらえます。他の総合大学に比べれば学生数に対して先生の数も多いですし、親身になって話を聞いてくれるでしょう。またその気になれば世界中の有名な先生を紹介してもらって、メールでなどで直接意見をもらったり、アドバイスをもらったりすることもできます。外国語を学びたければ大学のネイティブの先生と会話したり、論文を書いて持っていけば添削もしてくれるでしょう。結局、何が言いたいかというと、すべて「あなた」次第だということです。

 若い学生の皆さん、僕らは望まずともあらゆる機会を目の前に「どうぞ」と与えられた時代を生きています。やる気次第でなんでもできるのです。残念ながら大学を卒業するとき、就職するときになって「〜だったのでできませんでした」という言い訳はほぼできません。

 ただ授業を受けるだけではなく、視野を広く、志を高くもって積極的に大学を使い倒してください。そうすれば東京薬科大学はあなたにとって最高の学びの場になると思います。皆さんにとって一生に一度の青春のキャンパスライフです。バイト、遊び、恋愛、クラブ活動、やりたいことは盛りだくさんでしょう。自分のポテンシャルを信じて思いっきり行動して最高のキャンパスライフを送ってください。

2015年2月25日
極寒のNYより
山﨑 高志

小野寺 威文 さん

2013年 3月 東京薬科大学大学院 博士課程修了 (環境分子生物学研究室、現・応用微生物学研究室)
2013年 5月 日本原子力研究開発機構(日本学術振興会特別研究員PD)  
2013年   Université de Paris-Sud XIに留学中

〜極限環境微生物〜
 私は、東京薬科大学大学院在籍時から70℃という高温環境を好んで生育する高度好熱菌サーマス・サーモフィルスや高線量の放射線に耐性をもつ放射線抵抗性細菌デイノコッカス・ラジオデュランスといった極限環境に住む“ちょっと変わった”微生物を研究対象にしてきました。極限環境とは温度、pH、圧力、乾燥、放射線耐性などといった一般的な微生物の生育環境と掛け離れた環境を指します。博士課程終了後は、パリ南大学(Université de Paris-Sud)に留学し、ラジオデュランスの放射線耐性機構について研究しています。ラジオデュランスは、ヒトの致死線量の1000倍以上の放射線に耐性があり、他にも紫外線やDNA損傷を誘発する化学物質などにも高い耐性を示します。この驚異的な放射線耐性の理由の一つに強力なDNA修復能力が挙げられます。ラジオデュランス特有のDNA修復タンパク質も発見されていますが、他の生物が持つ既知のDNA 修復タンパク質のほとんど全てを持っていることも知られており、DNA修復能力の詳細ははっきりと分かっていません。ラジオデュランスのゲノム中には未だ半数を超える機能未知遺伝子が眠っていて、この中に放射線耐性に大きく寄与している遺伝子群があることが十分に予想されます。現在いくつかの遺伝子を標的としてDNA修復機構や放射線耐性機構との関連性及びその機能解明の研究に取り組んでいます。

〜フランス生活〜
 仕事の話ばかりでしたので、フランス生活の話も少ししたいと思います。パリ南大学はその名の通り、パリより南へ約30kmのオルセー(Orsay)という街にあります。キャンパスは非常に広大で自然に囲まれており、大学周辺にはサッカーグランド、テニスコート、プールなどがあります。私はオルセーにアパートを借りて住んでいて、アパートから大学へは徒歩で20~30分程度かかります。家具付きのアパートでしたので食料品だけ買ってくればすぐに生活することができました。自宅周辺にはスーパーが一軒とレストランが数軒ありますが、コンビニなどある訳がなく、夜8時を過ぎると店は閉まってしまうため食料を手に入れるのが困難な状況になります。大学の同僚たちの帰宅時間が早い(19時頃には誰もいなくなります)理由は、こういうところにあるのだろうなと感じます。パリはとても有名な観光地なので、プライベートで旅行されたことのある方も多いと思います。自宅のアパートからは郊外高速鉄道RER B線で40分ほどでパリ市内に行けるので週末はパリに出かけて凱旋門や美術館、博物館の観光・鑑賞や料理、ワインを楽しみつつ日々の疲労をリフレッシュしました。ただ、基本的にフランス語なので苦労も多々ありましたが・・・。

~終わりに〜
 生粋の日本人である私にとって、自分と異なる考え方をする人々に出会い“キリスト教の”、“欧州大陸の”、“石造の”文化に触れながら研究や生活できることは、大変有意義なことであり自分の価値観や視野を広げることができる絶好の機会であると感じています。東京薬科大学で出会った極限環境微生物に夢中になり、気がつけばフランスに来ていたこの人生、何がきっかけでどう転ぶか分からないものです。しかし、東京薬科大学で過ごした時間が大きく影響していることは確かであり、大学で学んだこと、経験したことがフランスでも確実に役立っています。夢中になるものを持っている人はそれを大事に育て、そんなの無いよという人も焦らずゆっくり探してみて下さい。大学で生活する、社会に出る前、というのはそういう時間だと思います。何か考えがあるなら、まずは行動してみることが一番かもしれません。自身もまだまだ未熟なくせに偉そうな事を言ってしまいました。最後になりますが、大学院時代にお世話になりました先生方や諸先輩方、仲間たち、そして良くして頂いている現ラボメンバーに感謝致します。

蓑田 歩 さん

私立頌栄女子学院高等学校出身
2000年3月 修士課程修了(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
2004年3月 東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了
筑波大学 生命環境系 助教 JST さきがけ研究員

 こんにちは。生命科学部一期生の蓑田です。

 生命科学部の良いところは、学部の一年生からゼミがあり、大学や研究の自由さを入学当初から身近に感じることができること、そして、興味があれば、学部の早い時期から、研究室で教授の先生と論文を読んだり、実験をすることができ、研究の楽しさと大変さに触れることができることと思います。

 高校生だった私は、強い将来のビジョンもなく、何となく好きだから、面白そうだからと言う理由で入学しました。研究は、もちろん身近なことではないのでハードルが高く感じたし、大学の先生は暗くてつまらなそうと思っていました。でも、一年生の時の水島先生のゼミや講義は、そんな私に、研究室に行ってみるきっかけをくれました。そして、二年生から、興味のあった光合成の研究室の都筑先生のところで、二年間、毎週、論文を読み、三年生から実験を始めて、それ以降、ほとんど変わらない毎日を過ごしています。

 もう一つの良いところは、まだ、新しい学部と言うことです。私は、当時、先生達が、新しくできたばかりの生命科学部を、出来の悪い私達をどうにかするという無謀と思えることに、一生懸命頑張っている姿を、今でもよく覚えています。その姿は、私達一期生にとって、最も勉強になったことであり、一緒に新しい学部をつくるという、あの時の楽しい雰囲気は、良い思い出です。

 そして、今でも、いいことも、悪いことも、「君は、昔から変わっていたから。」と笑い話にしてくれる先生達のいる生命科学部は、私にとって温かいホームグラウンドです。

 開催されているセミナーの数が多い点も私は好きです。これから入学される方、在学中の方、どうぞ、これからも、私達の温かなホームグラウンドで、ワクワクしながら、のびのびと、たくさんの新しいことに触れて、挑戦して、失敗したりして、先生達とよりよい新しい生命科学部をつくり続けて下さい。先生達も頑張って下さい(笑)。私も頑張ります。

照井 祐介 さん

2000年3月 東京薬科大学薬学部 卒業
2005年3月 東京薬科大学大学院 生命科学研究科 博士課程修了 博士(生命科学)細胞機能学研究室(現極限環境生物学研究室)
2005年4月 千葉大学薬学部 博士研究員
2006年4月 千葉科学大学薬学部 講師

 私は現在、千葉科学大学薬学部で講師として働いています。私は、東京薬科大学薬学部を卒業した後、大学院から生命科学研究科に入学しました。細胞機能学研究室(現極限環境生物学研究室)に所属し、生理活性物質であるポリアミンと核酸の相互作用という研究テーマについて、のびのびと予算面を気にすることなく自由に研究させていただきました。研究室生活においては、技術や知識だけでなく、失敗に直面したときの問題解決能力などもいろいろ勉強できました。先生方には、学会発表など数多く出席する機会を与えていただき、ヒトとヒトとのつながりや研究の面白さをいろいろと教えていただきました。この経験は、現在、共同研究など盛んに行うことが出来たり、学会の若手の会を作ったりといろいろなところに生かされています。また、細胞機能学研究室(現極限環境生物学研究室)では、タンパク3000などのプロジェクトなどで様々な分野のポスドクの先輩方が所属しており、将来について有意義な意見を聞くことができました。

 博士課程後期を卒業後、千葉大学の薬学部にポスドクとして1年間勤務した後、現在の大学に助手として移りました。研究室では、学生さんが1学年10人以上ずつ在籍しており、みんなでわいわい楽しく研究を行なっております。大学教員という立場になり、予算面を気にせず研究を遂行していくことの難しさを日々実感しております。大学院時代に経験させていただいたこと(学会発表になるべく多く参加し、ヒトとヒトとのつながりを大事にする。)など学生さんに少しでも伝えられるよう頑張っている今日この頃です。

 皆さんも生命科学部で卒業研究等に一生懸命取り組んでみてください。研究に携わることは、他では得られない経験をすることができます。そして、人生にとって何か大事なことが得られるはずです。

吉田 拓也 さん

平成18年3月 環境生命科学科(現応用生命科学科)環境応答生物学研究室 卒業
平成23年3月 東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻 博士課程修了 博士(農学)
平成23年4月 東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻 特任研究員
平成24年1月 同 特任助教

 現在特任助教として東京大学大学院農学生命科学研究科に務めていますが、東薬で学生生活を謳歌していた時には、よもや10年後に今の職業に就いているとは夢にも思っていませんでした。というのも、大学生の頃は剣道一筋で、授業や実習も淡々とこなし、勉学や研究に特別興味も持たず、将来についても何のビジョンも持ち合わせていなかったからです。ですが、2年次の植物生理学の授業を受け、植物という生き物の不思議さ、特にCAM型植物の講義を通じ、植物が過酷な環境で生存する仕組みに興味を持ち始めました。

 その後、3年次に進級してからは特別演習、4年次からは卒業研究で環境応答生物学研究室(現環境応答植物学研究室)にお世話になりました。東薬で植物研究に携わるために一番手っ取り早い研究室として選択したわけですが、それ以上に都筑先生をはじめ先生方、先輩方には研究の基礎の基礎を叩き込んでいただき、研究室選びで悩んでいる学生がいたらぜひお薦めしたい研究室です。少し余談になりますが、環境応答で培った人間関係は今でも私の人生の重要な部分を占めており、都筑先生はもちろんのこと、このページの杉本さん(京大・山口大)、山岡さん(POSTECH)、緑川くん(UC Davis)とは学会で会えば近況などを話しますし、彼らの仕事ぶりを論文などで見ては自分の仕事への活力に換えています。もう一つ余談として、卒研ではラン藻(シアノバクテリア)を用いた光シグナル伝達経路に関る研究をさせていただきましたが、この程、私が一部関った研究として論文の雑誌への掲載が決まり、とても嬉しく思います。

 さて、東薬を卒業した後は、はじめに興味を持った環境ストレスについて高等植物を用いて研究がしたいという思いから、現在所属する植物分子生理学研究室を受験し、大学院修士課程からお世話になっています。大学院では、モデル植物のシロイヌナズナとイネを用い、植物ホルモンであるアブシシン酸シグナル伝達経路に関る転写因子を中心に研究をおこなってきました。アブシシン酸は、乾燥や浸透圧ストレスにより植物細胞内に蓄積する植物ホルモンであり、植物が普遍的に備えている水分が少ない環境に耐える仕組みと密接に関わっています。現在も大学院時の研究テーマの延長で研究、そして研究室の学生への教育に携わっていますが、今の職業に感じる魅力を3点挙げてみます。

 1つ目は、研究という仕事が過去の研究の積み重ねの上に成立しているということです。かなり難解ではありますが、例えば、みなさんが良く使うであろうGoogleの1つのサービスで、論文を検索することのできる「Google Scholar」というページにアクセスしてみてください。そこには、全く唐突に「巨人の肩の上に立つ」という言葉が書かれているはずです。これは、かのアイザック・ニュートンが好んで使ったとされる慣用句ですが、意訳すると上記のようなこと(研究という…)を示している言葉です。興味のある方は詳しく調べてみてください。
 研究というのはそのような性格を持つ仕事ですので、他人の研究にどれだけ影響を与えられるかが、良い研究の1つの尺度となります。我々研究者は、研究成果を論文という形で発表しますので、論文がどれだけ多くの人に読まれているか、どれだけ多く他の論文に引用されているか、というのが研究の評価につながります。評価と言ってしまうとかなりドライな印象を与えますが、自分の書いた論文が他人に引用されるというのは、今まで味わったことのない圧倒的な喜びを与えてくれるものだということを、論文発表後1年も経つと強く実感するようになりました。学会などで全く知らない人から声をかけられるというのもかなり嬉しいもので、これが私の感じる研究という仕事の魅力のひとつです。

 2つ目は、自分が世界の最先端の研究をしているということです。まだ世界で誰も知らないことを明らかにする、それが研究という仕事です。そのテーマについて世界で一番詳しいのは自分であるという強い信念を持って研究をおこなうのはとても大変ですが、同時にとてもやりがいのある仕事です。いつか「その分野の講演をぜひあなたにしてほしい」と言われるのが、私の夢のひとつです。

 3つ目は、科学は世界共通だということです。多くの場合、英語が公用語とみなされていることも幸いして、少しの英語力があれば、世界中どこの国でも研究者として働くことが可能ですし、学会などで世界各国を巡ることができるのは、研究者という仕事への唯一のご褒美かもしれません。また、今の所属研究室では海外の研究所と共同研究していることもあり、2012年の1月には2週間ブラジルに出張してきました。現地はポルトガル語ですが研究所内は英語で十分通じましたし、英語で打合せをし、自分のやりたい実験を英語で交渉するというのは、海外の研究所ならではの貴重な経験となりました。

 以上が、私が感じている研究者という仕事の魅力ですが、最初に記した通り、東薬に学んでいた時からぜひ研究者になりたいと思っていたわけではありません。なんとなく東薬に入学し、なんとなく植物生理学に興味を持ち、研究に打ち込む間に次第と形成されてきたものです。せっかくなので私見を述べさせてもらうならば、東薬で過ごす大学4年間はいろいろなことに興味を持ち、失敗を恐れずチャレンジし続けることが重要なことだと思います。もちろん、明確な目標を持って東薬に入学してきた方はとても素晴らしいし、ぜひ初志貫徹してほしいと思いますが、今はっきりと目標を掲げることができなくてもそれはそれで良いと思います。視野を広く、枠に囚われず何事にも挑戦できる環境が東薬には整っていますし、充実した4年間を過ごすのに東薬以上の学校はあまりないように思います。

 そんなことを言うと立場上少し問題ですが、東薬の卒業生が社会の様々な分野で活躍されることをOBの一人として期待しています。

東京大学大学院農学生命化学研究科 応用生命化学専攻 植物分子生理学研究室

 

山岡 靖代 さん

平成17年3月 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
平成20年3月 東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻 修士課程修了
平成23年9月 埼玉大学大学院 理工学研究科 生命科学コース 博士後期課程修了 博士(理学)
平成23年10月―平成24年3月 日本学術振興会 特別研究員
平成24年4月― POSTECH Department of Life Scienceポスドク研究員

 私は、大学入試の合格発表後、東京薬科大学生命科学部と他大学のどちらに入学するかを決めかねていたところ、その分野に精通する知人から、「東京薬科大学生命科学部には、各分野で活躍し業績をあげている先生が多い」と聞き、東京薬科大学への入学を決めました。東京薬科大学は、山の中に建てられた大学で自然に恵まれた環境にあります。最寄り駅からは若干遠いのですが、バスが頻繁にでているので、通学に不便があった記憶はありません。緑に囲まれたとても居心地の良いキャンパスです。

 学部生時代は、「科学」に没頭する前に「ダンス」に没頭しました。結成されて数年しか経っていなかったダンスサークル(現ダンス部)は、アットホームで居心地がよく、授業時間以外はいつも体育館前に集まって仲間と踊っていました。文化祭で発表するという目標に向けて、自分たちのオリジナルの踊りをつくり、工夫し協力し合いながら完成させる。うまく踊れないなら、朝から深夜まで何時間もかけて根気よく練習する。そして、本番で踊りきったあとに皆で味わうあの達成感。現在の研究生活においても、これらの独創性・工夫・根気・協調性はとても大切なことであり、今振り返ると、それを東京薬科大学の仲間たちと共に気付かないうちに磨き上げていたのだと思います。

 4年生になると応答研(現環境応答植物学研究室)に配属しました。応答研は、皆が和気あいあいとしていて雰囲気が良いだけでなく、指導を担当してくれる先生や先輩方は博識で、科学に精通する多くの研究者を輩出する研究室でもあります。卒業研究では、植物脂質に関する研究を行っていました。テーマの決まった当時は、「遺伝子でもタンパク質でもなく、なぜあぶら?」と半ば消極的だったのですが、これがまた面白いこと。踊りと同様に、すぐに研究に打ち込みました。脂質は、細胞自身やすべてのオルガネラの構造維持に重要であり、さらに、脂質自身がシグナル物質としてタンパク質の活性調節など多くの生理機能にも欠かせないのです。また、植物脂質はバイオディーゼルとしても注目されているため、多くの企業が関心をもっている分野でもあります。東京大学大学院理学系研究科に進学した後も植物脂質研究を選び、細胞内に少量しか含まれていないホスファチジルセリンという脂質が花粉成熟に重要であることを明らかにしました。指導教官(西田生郎教授)の異動に伴い埼玉大学大学院理工学研究科に移った後には研究成果が認められ、Gordon Research Conferenceという名誉ある学会から研究発表の依頼を2年連続で受け、学生にして国際学会での口頭発表を2度も経験させてもらいました。近年、脂質解析機器が改良され、多岐にわたる脂質代謝物の解析が可能になってきました。その技術を学ぶため、学振特別研究員として埼玉大学に在籍していた時に、北テキサス大学で最先端の脂質解析機器(MALDI-MSおよびDIES-MS)を用いてユリの葯の脂質イメージング質量分析に取り組みました。自分のアイデアと最先端の機器を用いて誰も知らないことを明らかにするという、脂質解析の可能性に触れたとても有意義な一ヶ月間でした。

 現在は、韓国のPOSTECH(ポハン工科大学)でポスドク研究員として働いています。POSTECHは、設立50年以内の大学で世界1位の業績を誇る大学です。私の所属する研究室は、元来ABCトランスポーター研究で多くの業績を上げている研究室なのですが、近年、脂質蓄積に携わるABCトランスポーターなどの因子を用いてバイオディーゼルとなる油脂を蓄積させることを目的とした研究に取り組んでいます。脂質解析には、各脂質分子種に合わせた抽出技術や解析機器に関する知識を必要とするので、その経験があると重宝されるようです。また、光合成と脂質、細胞分化と脂質、花粉成熟と脂質など、あらゆる分野とのコラボレーションが効きます。「一芸は身を助ける」とはこのことでしょうか。今後も、研究生活が続く限り、植物脂質を軸とした研究を続けていきたいと思っています。

「一生もののテーマ」を与え、研究者として大切なたくさんのことを教えて下さった東京薬科大学のあたたかい先生方や先輩方、仲間たちに今でもとても感謝しています。

 

 

緑川 貴文 さん

平成18年3月  環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
平成22年3月  東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 博士課程修了 博士(理学)
UC Davis Department of Plant Sciences ポスドク研究員

 地球上の生命を維持するためのエネルギーの多くは光合成によって賄われています。そのため、生命そのものを考える基礎研究としても光合成は重要な位置にあります。また、太陽エネルギーには利用の余地がまだ十分にあることから、エネルギーや物質生産といった応用面でも広く研究されている分野です。

 私は、大学院ではシアノバクテリア(ラン藻)を対象に、光化学系の遺伝子がどのように調節されるのかを研究していました。シアノバクテリアが他の細胞に取り込まれ、藻類・植物のもつ葉緑体となったと考えられていて、これは細胞共生説といわれています。「細胞の中」という環境に置かれ、葉緑体となったシアノバクテリアは独特な方向へ変化していったのですが、その変化の一つに「葉緑体の外(細胞質)からタンパク質を取り込む」という現象があります。現在の私は、縁あってカリフォルニア大学Davis校で博士研究員として、植物でタンパク質が葉緑体へ取り込まれ、チラコイド膜へと移行するしくみを研究しています。海外に出た事自体はたまたまでしたが、日本以外の研究環境を一端でも体験できていること、また外から日本の様々な側面を見られることは研究以外の面でも興味深く、よい機会に恵まれたことに感謝しています。エネルギーや物質生産といった応用面でも広く研究されている分野です。

 大学時代は生命科学が好きで東京薬科大学へ入学したこともあり、専門の講義を取れるだけ取って楽しんでいました。単位はそれほどには落とさなかったかと思います。特にこの時期に微生物や生物多様性について興味を持ったのが今の分野に進んだきっかけでもあります。生命科学について、今の専門でない部分も含め多岐に渡って学べたことはとても有意義だったと今も感じています。また、卒業研究の短い期間でしたが、所属していた環境応答生物学研究室(現環境応答植物学研究室)はシアノバクテリアと藻類を広く扱っていて、いろんな興味を育てて頂けた場所でした。当時の自分は緑藻を扱っていましたが、実際に他の生物も自分で育ててみればよかったかなとは今も少し残念に思っています。

 大学は生活の為だけでない様々なことを考えたり学んだりできる素晴らしい時期だと思います。是非いろいろな事に興味を持って、楽しんでください。

味八木 茂 さん

平成9年度 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業
広島大学 医歯薬学総合研究科 広島大学病院 再生医療部 講師

 Ph.Dとして医学研究に携わっている医師免許(MD)を持たない研究者は、医学部の基礎講座をはじめ珍しいことではありませんが、臨床系の研究室で活躍している人はまだまだ少ないです。米国では、例えば整形外科のような研究室でも、臨床教授(MD)と研究教授(Ph.D)がいて、臨床および基礎研究面からその分野の発展を支えています。しかし、残念ながら我が国にはそのようなシステムは存在しません。学生諸君には、畏非自分の将来プランとしてどの分野に活躍するチャンスが埋まっているのかを常に意識して欲しいと思います。世の中には多くの学生・ボスドクが、がん、免疫といった主要分野で数少ないポストを巡って厳しい競争をしています。しかし、少し視点を変えてみるのもどうでしょうか?我々のような基礎研究者を必要とし、活躍できる分野は以外に多いことに気づかされるはずです。ともっともらしいことを書いているわたしですが、学生時代は留年すれすれ、食う寝るサッカーの部活中心の生活でした。最近は、怒られるとすぐにやる気をなくすなど精神的に弱い学生が見受けられます。学部学生時代には、困難にも立ち向かっていくだけの体力と精神力を鍛錬して欲しいと思います。これからの医学研究者は単なるおたく研究者では生きていくことは難しい時代になっています。就職をするにしても、研究者になるにしても社交的で体力的にも精神的にも強い人が今後より求められていくでしょう。(東薬ニュースレター106号より、許可を得て転載)

加藤 靖浩 さん

愛知県立名古屋西高等学校出身
1998年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
2004年 名古屋大学大学院 生命農学研究科 学位取得(生命農学博士)
慶應義塾大学 医学部 薬理学教室 助教
日本薬理学会 第87回年会優秀発表賞 授賞 「細胞選別を目的とした超急速凍結法」
加藤君の喜びの声はこちらから(東薬会会報 2014. 9月号「あの人この人」, 要ID)。「折しも、アクアポリンを発見し、ノーベル化学賞を受賞したピーター・アター・アグレ先生にも同席して頂いての受賞でした。」とのこと。アグレ先生との記念写真もこちらから。)

 -Water Biology−とは、聞き慣れない言葉ですが、これは私の所属する研究室が新たに開拓している、水分子の振る舞いから生命現象を捉える学問領域です。

 この研究との出会いは、お世話になった環境応答生物学研究室での卒業研究が始まりです。私たち生命体は、多数の細胞が集まって構成されていますが、細胞一つ一つは、細胞膜で覆われ外と内側の環境を隔てています。細胞膜の構成要因として脂質と膜タンパク質が、その大部分が占めており、東薬大在籍時には、外環境の温度変化に伴う脂質の流動性に注目して研究していました。大学院の時には、もう一方の構成要因である膜タンパク質の機能と構造の関係を解明する研究を行っていました。そのとき、水の輸送をつかさどる膜タンパク質アクアポリン(AQP)と出会い、現在は、水分子動態を制御するアクアポリンから探る凍結法として、新しい細胞凍結保存・輸送液を開発しています。このような生体における水の役割を理解しようとする研究は、複数の大学や企業と共同で進めており、基礎研究のみならず、医療・農業・水産業などへの応用も試み、様々な方面から社会還元の糸口を探っています。

 研究のみならず対外的な活動を率先してこなせるのも、四季の豊かな八王子キャンパスでのオープンで活発な教員と懇談や体育会スキー部、東薬会OBOGとの交流があったからで、私の一生の財産になっています。

斎藤 昌幸 さん

東京都立町田高等学校 出身
2006年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(生態学研究室)
2011年 横浜国立大学大学院 環境情報学府 博士課程後期修了
東京大学 大学院総合文化研究科 特任研究員

 八王子の里山の一角に位置する東京薬科大学(以下、東薬)の構内には、ノウサギやタヌキなど数多くの野生哺乳類が暮らしています。卒業研究のために、大学構内の林内でノウサギの糞を数え始めたことから私の研究生活は始まりました。

 同じ地球上に暮らす人間と野生哺乳類の間には、さまざまな軋轢が発生しています。たとえば、都市開発が進むと生息できなくなる哺乳類がいます(「平成狸合戦ぽんぽこ」をイメージするとわかりやすいです)。一方で、中山間地で農業をするとシカやイノシシなどに農作物を食べられてしまいます。人間と野生哺乳類が共存していくためには、このようなさまざまな軋轢を軽減していく必要があります。どのような都市設計をすれば、都市の中にも哺乳類の生息場所を残していけるのか?農作物被害を防ぐにはどうしたらよいのか?このような問いに、生態学的な視点から少しでも答えていくことを目指して研究を進めています。

 小さいころから生き物に興味を持っていた私は、生態学を学べる大学に行きたいと思っていました。「生態学研究室がある」「ワンダーフォーゲル部がある」「地元(町田)から近い」という理由だけでよく調べもせず東薬に入学した当時18歳の私は、ミクロな生物学・化学などが授業の多くを占めているカリキュラムを見て愕然としました(そして、あやうく留年しかけました)。しかし、分子生物学的あるいは化学的な手法は多くの生態学研究に取り入れられているため、結果としてこのような分野の勉強をできたことは自分にとって貴重な経験となりました。

松田 豪 さん

平成13年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(生態学研究室)
新潟工科大学 入試広報課 勤務

 新潟工科大学は、新潟県産業界の「実務教育を通じて、優秀な技術者を県内に輩出できる場を自らの手で作りたい」という思いから設立された工学部のみの単科大学です。これまでに、多くの優秀な技術者を輩出しています。

 私が所属する入試広報課では、学生募集、入学試験、広報誌の発行、大学ホームページの管理・更新など幅広い業務を行っています。その中でも中心業務となるのが、学生募集と入学試験です。学生募集と一言で言っても、進学説明会での高校生への説明、オープンキャンパスの企画・実施、大学見学会の実施、高校へ訪問しての先生への大学紹介、進学雑誌・進学サイト等への広告の掲載などがあります。何をしたら大学の魅力を伝えられるのか?どうしたら高校生に分かりやすく説明できるのか?日々、試行錯誤の日々ですが、なかなか答えが見つかりません。入学試験も同様で、入試制度や地方会場、入試科目の検討・設定などがあります。適正な学力測定ができるのか?受験生の利便性・公平性のためにはどうしたら良いのか?考えたらきりがありません。大学全入時代と言われて久しく、入学者が少なければ、大学の経営が成り立たなくなってしまいますので、責任感を持って、仕事をしています。

 東薬では、生態学研究室の1期生として、たくさんのフィールドワークを経験させていただきました。卒業後は、河川の環境調査や農業改良普及員といったフィールドでの仕事に従事していましたが、前述のとおり、現在は、生命科学とは関係のない分野に従事しています。ですが、本学工学部には、環境科学科という学科があり、生命科学も専攻分野に含まれており、高校生や高校の先生に説明する際には、東薬での専門教育が役立っています。人の役に立つモノの研究や開発をする側から、研究・開発をする人材の育成を手伝う側に変わりましたが、高校生に研究・開発分野に進むきっかけを作ることができればと思っています。

 最後に、私のように少し異なる分野に進んだ者でも、生命科学部で学んだ「科学」の知識が少なからず、生かされています。自信を持って、自分の進みたい分野に進んでください。

上 大介 さん

平成14年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
平成19年 横浜国立大学大学院 工学府 博士後期課程修了 博士(工学)
京都府立医科大学 人工臓器・心臓移植再生医学講座 助教

 私は東京薬科大学生命科学部を卒業した後、横浜国立大学大学院工学府に進学し、横浜国立大学に所属しながら外部研究先の国立成育医療研究センターにて心筋細胞の発生について研究してきました。広い分野を学んだ大学・大学院での研究生活はとても貴重な体験で、社会に出た今、大きな武器となっております。現在は、生命科学と工学のハイブリッドな研究者(と自称しておりますが)として、京都府立医科大学にて再生医療に役立つ技術や手技の開発をめざして、心筋細胞の分化・発生について研究し続けております。

 東薬在学中は、4年生のときに一年間でしたが都筑幹夫教授のラボ(環境応答生物学研究室、現環境応答植物学研究室)に所属して卒業研究を行ないました。当時は緑藻や微細藻類のヒ素代謝についての研究に日々を費やしました。正直、当時と現在の研究は全く異なるものですが、その間に学んだ研究の姿勢や考え方などは今でも役立っております。また当時の先輩・同期・後輩らとも卒業10年近く経った今でも公私ともに交流があり、当時の充実した研究生活のおかげであると考えております。

 最後に、あまり柄ではないですが、学生の皆様に役立つと思われるアドバイスをさせていただきます。一見、大学で体験することや学ぶことは社会に出て直接役立たないように感じられるかもしれません。しかし、それらの経験を基に応用できるように頭を良く使うこと、さらに自分の実力や立場をきちんと認識し、今できることを一つ一つ積み重ねていくようにして下さい。これらの経験や努力はけして自分を裏切ることはありません。また、一人でも多くの人と触れ合うことで考え方を学び、視野と交流を広げて下さい。そうすれば様々な人が声をかけてくれるようになります。

 まだまだ自分自身もこれらを実行するように心掛けているような段階で、かなり偉そうなことを言っていますが、皆様には、より多くの人と出会い、共に行動することで世界に良い影響を与えられるような人材になることを期待しております。

杉本 貢一 さん

平成13年 環境生命科学科(現応用生命科学科)3年終了時、大学院に飛び入学
平成15年 大学院修士課程修了 (環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
平成19年 大学院博士課程修了 博士(生命科学)
京都大学 生態学研究センター /山口大学 医学系研究科 ポスドク研究員

 私は“植物同士の会話”について研究しています。
と言うと「周りの人にこいつは何をやっているんだ!?」と思われます。おかげで何か怪しいことをしているなぁと憶えてもらえる事が多いです。ではでは実際に何をしているのか?というと、『食害虫によるダメージを受けた植物から放散される揮発性化合物を周囲に生育している健全な植物が認識して、その植物が近づきつつある“敵”に対する防衛準備を始める』という植物間の情報伝達現象について、その分子メカニズムを解明しようとしています。山口大学・ドイツマックスプランク化学生態学研究所・オランダアムステルダム大学・イタリアトリノ大学と連携し、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしながら楽しく活動しています!この自由度は、ポスドク生活を選んだ特権だと思って、今しかできない楽しみ方を満喫しています。もちろん、研究成果もどんどん発表しつつ・・・?まぁ、それはこれからを見ていて下さい!ということで。

 さて、こんな私が考える「東京薬科大学・生命科学部の美点」は自由さです。理解力・包容力にあふれる諸先生方とキャンパスの雰囲気は何物にも代え難い。医療・生命・環境というキーワードに興味を持って入学する人が多いと思いますが、そうでない人もなんとかやっていましたね(笑)。私の場合、ぼーっと過ごした学部時代も、実験にがつがつ過ごした修士課程も、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしながら研究してるっぽく過ごした博士課程も、先生方が受け入れてくださったおかげで楽しく過ごすことができました。おかげで、今も怪しい(?)研究を楽しく続けることができています。入学を考えている人も、コース選択で迷っている人も、研究室選択で悩んでいる人も、進学しようか相談したい人も、まずは実際に体を動かして訪ねてみたらどうでしょう。新しい芽・目が開くかもしれませんよ!「まずは進んでぶつかってみる」はまだ見ぬ将来の自分へのメッセージも兼ねてここに記しておきます。

 

京都大学 生態学研究センター 高林研究室
http://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/~junji/

山口大学 医学系研究科 松井研究室
http://web.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~matsui/

稲葉 剛 さん

2010年3月 生命科学部卒業
2012年3月 生命科学研究科 博士前期課程(修士)修了
東京都足立区立渕江中学校 理科主任

教育実習をきっかけに教師という進路を選択。

 教員という進路を本気で考えたのは、大学4年次の教育実習がきっかけです。授業や行事を通して生徒たちとふれあい、彼らのイキイキとした表情を見たときに、大きなやりがいを感じました。研究の道に進むことにも魅力は感じましたが、それ以上に、教え子の成長を見つめて得られる充実感が大切なものに思えたのです。現在は3年生の担任を受け持っています。責任も大きいですが、学校行事などをやりきった時の達成感と、それを生徒たちと分かち合える喜びは格別です。めざしているのは、常に生徒に寄り添って考えられる教師。そのスタンスだけは絶対に曲げないという信念を持って頑張っています。

生徒達に実験を通して理科のおもしろさを伝えたい。

 理科主任として心がけているのは、科学への探究心を刺激するような授業。実験を積極的に取り入れ、「なぜこういう結果が出るのだろう」と考えることで、理科のおもしろさに触れてほしいと願っています。「理科が好き」という生徒の声を聞くと、教師としての喜びと手応えを感じますね。もちろん最初からすべてうまくいったわけではありません。1年目は指導力不足もあり、私自身が授業を楽しめなかった時期も。そんなとき、東薬の研究室生活を通してあきらめずにやり抜く姿勢の大切さを学んだことが役立ちました。

幅広い学びができる東薬だから将来の道もしっかり選べた。

 多岐にわたる授業や多彩な研究室、取得できる資格の豊富さなど、将来に向けて様々な可能性を見いだすことができる点が、東薬の良さ。幅広い分野を見ることができたからこそ、その中から教職という道を選ぶことができました。先生方も心から応援してくれ、採用試験の勉強と研究の両立に苦労していた時期も親身に相談にのってくれました。一人ひとりに理解のある環境だったおかげで、就職活動も研究もやり遂げることができたと感じています。

相亰 里奈 さん

2007年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
2009年 東京大学大学院 農学生命科学研究科 農学国際専攻 修士課程修了
東京都私立中学・高等学校 教諭

 私は現在都内の中高一貫校で理科教員をしています。しかし、初めから強く教員志望だったわけではありません。もちろん理科、特に生物は小学生の時から好きでしたが、逆に修士課程まで生物を学んできたからこそ、就職は広く一般企業を受けようと思っていました。

 研究開発職も含めた幅広い業界で就活し、社会人最初の2年間はSEとして働きました。理科とは無縁の職場でしたが、システムという論理的な仕組みを設計したり、自分でコーディングしたプログラムを動かしたりする経験は一生の財産になると思います。またみっちり受けた新人研修も私が働く上での大事な基礎となっています。

 転職を決意したのはやっぱり理科が好きで、仕事として理科という教科に少しでも関わりたいと再認識したからです。会社員時代の仲間から「理科の先生に向いてるんじゃないか」と言われたことも背中を後押ししてくれました。

 教員生活は決して楽ではありません。まず朝が早いですし、授業以外にも校外学習の引率や部活、学校説明会など仕事は予想以上に多岐に渡ります。先生一人が生徒に果たせる役目はそう多くはないかもしれませんが、「なるほど!」という時の生徒の表情は何にも変えがたいものがあります。 私がみなさんに伝えたいことは、何事も始めるのに遅すぎることはないということです。10年以上企業に勤めて、教職についた先生も私の周りにはいらっしゃいます。やりたいという気持ちと行動力があれば、道は開けます。進みたいと思った道を諦めないで下さい。

阿部 良明 さん

平成24年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
福岡県福岡市立中学校 教諭

 私は現在、福岡市の中学校で教員として働いております。今は3年生の副担任として教材研究や部活動の顧問、体育会に向けての準備に勤しんでいます。

 私が教員になろうと思ったのは3年生の時で、3年の後期から勉強を始めました。周りが就職活動や院試の勉強をしていく中で、周りと違う勉強をするのはなかなか大変でしたが、東薬で出会った沢山の友達や先生方のおかげで私は自分の夢を叶えられたと思います。

 生命科学部の中で教員を目指している人に私が伝えられる事は、教員はとっても大変な仕事だがそれ以上にやりがいのある仕事だという事です。見知らぬ福岡の地で出会った沢山の先輩方や生徒達は宝物です。いつか東薬から福岡市の教員が出るのを楽しみにしています。

幡野 仁哉 さん

平成24年 大学院修士課程修了(環境ストレス生理学、現環境応用動物学研究室)
神奈川県立秦野養護学校 教諭

 平成24年3月に環境ストレス生理学研究室を修士として卒業しました。神奈川県ならびに愛知県の高等学校理科教員としていずれも採用されましたが、特別支援学校の人事を拝命し、現在、病弱教育重度重複障害部門で中学2年生の担任をしています。私からは教員として心がけていることを3つお話します。

 1つ目は謙虚さです。わからないことは先輩の先生方に教えを乞い、素直に聞く。新任教諭に求められるコミュニケーション能力とはまさにこのことだと考えます。2つ目は向上心です。教わるだけでなく、先輩の授業を観察し、試行錯誤してよりよい授業を目指す。3つ目は洞察力です。生徒があと少し努力すれば乗り越えられる壁を用意し、そのアシストができるよう生徒の気持ちを推し量ることです。実はこの3つの力はすべて研究活動で培ったものなのです。みなさん、自分の研究活動を振り返ってみてください。わからないことを質問していますか?データを出すために試行錯誤していますか?わからない人に配慮したわかりやすいプレゼンができていますか?

 全力で研究活動に取り組んだことを教員になってから必ず感謝する時が来るでしょうし、採用試験でも自信を持って面接に望むことができるでしょう。東京薬科大学からひとりでも多くの教員が誕生するようみなさんの健闘を祈ります。

立花 智子 さん

2001年 環境生命科学科(現応用生命科学科)3年終了時、大学院に飛び入学
2003年 大学院修士課程修了(環境応答植物学研究室)
株式会社リバネス 勤務

 私は今、東薬の研究室の先輩が立ち上げた会社(株式会社リバネス)で働いています。設立11年目でスタッフ数は40名あまり、会社の事業内容は、人材育成、研究開発、メディア戦略、出版、飲食店の経営、養豚、植物工場、海外戦略コンサルと、人数規模から考えたら信じられないくらい幅広いのですが、私自身は、リバネスが設立当初からコア事業として行っている科学教育事業に携わっています。教育はもともとやりたかった事なので今それを仕事にすることができていて、とても充実してます。

 しかし高校時代からやりたい事が決まっていたかというと、そうではなくて、今振り返ると、当時は特にやりたいこともなく、将来のビジョンなどない毎日を送っていました。親の出身大学がたまたま東薬の薬学部だったため、なんの気なしにパンフレットを取り寄せたのが、生命科学部との出会いでした。私が受験生だった1998年頃は、「遺伝子組み換え食品」などバイオテクノロジーが世に浸透し、エコが騒がれ始めた頃でした。そんな背景を受けて、当時日本で唯一の生命科学部が、東京薬科大学に設立されたと知り「私も最先端の研究をしてみたい。」と思い受検することにしました。そして無事生命科学部に入学、学部三年生から研究室に入り浸り、そのまま修士課程に進みました。しかし、大学院に進んだ後に、私は決定的なミスをしていることに気づきました。研究に不可欠な精緻な実験が、私にはとても苦手だったのです。

 そこで自分はプレイヤーではなく、他の人がやっている研究の面白さを次世代に伝える事を仕事にしようと思い、教育関連の企業に就職することにしました。研究室の恩師である都筑幹夫先生は、将来が定まらずふらふらしている私に対して「やりたいことをやりなさい。」と仰りあたたかく見守っていただき、大きな心の支えになりました。

 そして結局、修士課程修了後は教育系の出版社に勤め、5年後にはリバネスへ転職し、今に至ります。東薬で得た知識や研究の経験は、日々の教育活動には欠かせないもので、東薬で学んだことは教育業界でも十分活かせることがわかりました。たとえば、理科の先生とコミュニケーションをとるには大学や大学院レベルの知識が要求されますし、子供向けの実験教室を開催するときにも、実習や研究の経験が活用できます。

 私の場合は、大学に進んでからも将来が定まらず悩むこともありましたが、今思うと、どんな経験も無駄にはならないと思います。東薬には、学生の多様な生き方を認めてくれる懐の深さがあります。それは、学生想いの先生方とそこから様々な道へ巣立っていった卒業生たちが作り出している一種の校風だと思います。なのでぜひ、生命科学に興味のある人は、東薬に来て自分の生き方を見つけてもらえればと思います。 

寺田 浩之 さん

平成14年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(生態学研究室)
NPO法人 こども自然公園 どろんこクラブ 勤務

 私の仕事はひと言でいうと「自然の魅力を伝えること」です。具体的には、NPO法人の職員として、環境教育事業の企画、運営を行っています。同時に、フィールドとしている公園の自然環境保全、組織の運営なども行っています。

 この仕事の最大の魅力は「子どもたちのキラキラした目に出会えること」です。大げさだと言う人もいますが、自然の中で未知なるモノに触れた瞬間の目は本当にキラキラしているのです。当初、「未来の自然を守るため」だと意気込んではじめた仕事ですが、いまの楽しみはキラキラした目に出会うことになってしまっています。

 この仕事に出会ったのは、大学4年のころでした。私は神奈川県内水面試験場の研究生として席を置きながら、「ホトケドジョウ」という絶滅危惧種の生態を研究していました。その研究の傍ら環境教育の手伝いをする機会があり、そこで「キラキラ」に出会ってしまい、卒業後も環境アセスメントの仕事をしながら、休日は月に何回か関わることとなりました。それから、「未来の自然を守るため」には「自然の魅力を伝えること」が重要であると考え、それを仕事にするための経験を積んで、今にいたっています。

 私が「未来の自然を守る」という夢に素直に向き合い、貫きつづけていられるのは、大学の自主性を重んじた校風の影響も大きかったと感じます。しっかり親身になって相談に乗っていただける先生たちも魅力です。ちなみに、私はいまでも時々、お酒を飲みながら東浦先生に相談にのっていただいています。

 いまの私の目標は、もっとたくさんの「キラキラ」に出会うための新たな組織を立ち上げることです。この文を書くにあたりこのページを見て、同期のみんなもそれぞれの分野で活躍していることを知り、とてもいい刺激を受けました。その刺激を力の源として、これまで以上に全速力で突っ走っていこうと思います。

朝山 絵里 さん

2008年 3月 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学研究室、現環境応答植物学研究室)
2008年 4月 武田薬品工業株式会社(医薬営業本部)入社
2011年10月 ナイフィックス株式会社(臨床開発グループ)入社

 出産や育児など、プライベートな時間を大切にしながらも、社会に貢献し続けたい、自身の価値を高めたいという想いで、一昨年10月に抗がん剤の開発に特化したCRO「ナイフィックス」へ転職をしました。

 4年間過ごした大学時代のことを回想して、受験生のみなさんに「東薬の生命科学部」についてお伝えしたいと思います。

 製薬企業の合併が盛んであった、2007年。1つの企業が取り扱う薬剤の幅は広がり、MRに領域別担当制を設けることが主流となりつつありました。その中で、「全製品を1MRが担当する」ことを貫いた、国内TOPの製薬企業、武田薬品はすごく魅力的でした。そして実際に入社した後も、退社した今でも、とても大好きな企業です。

 では、はじめから製薬企業への入社を希望していたのか、というとそうではなく、十代の頃は高校の理科教員を目標にしていました。1年間浪人をして、目標校であった他大学の教育学部と記念受験で受けた東薬の生命科学部の合格通知をゲットできた時、最終的に東薬の生命科学部を選びました。最新の研究設備を備えた大学だったこと、大学1年時からゼミ制を設けていて先生との距離が近いことが決め手でした。ここでなら、将来学生を惹きつける面白い授業ができそうかも!と思ったからです。

 いま改めて考えてみると、東薬の生命科学部には大きな二つの特徴があります。私はそのおかげで今の自分がある、と感じています。一つ目の特徴は、学問を学ぶ上での勉強方法にあります。専門的で正確な知識を身につけることはもちろん大切ですが、得た知識をどう利用・応用するかが必要とされる学部です。最先端の内容を扱う学問である以上、もしかしたら答えはないかも知れない――。そんな未知なる相手に、教科書通りの方法は通用しません。答えは自ら探り出す、そんな気概が必要となります。そのような学部の特徴から、私は「情報の入手方法」や「情報選択の仕方」を習得することができました。大人に守られた子ども時代を卒業し、未知なる世界に出てはじめて、この能力を培えたことは本当に大きな財産になったと思っています。

 一方で、学部が設立して数十年と歴史が短いことでのデメリットにあたる部分は、「東京薬科大学の生命科学部」であることで十分にカバーされていると感じています。なぜなら、130年を超える薬学部の長い歴史と信頼が築き上げた「東京薬科大学」。大学名が広く周知されているだけではなく、大学病院薬剤部や製薬企業等に多くの優秀なOBOGを輩出しているために、就職活動では一流の企業が大学構内に集まるためです。これは、東京薬科大学に属する生命科学部だからこそ得られる恩恵であり特徴の二つ目だと感じています。

 私も大学構内での企業説明会に参加し大きく進路が変更しました。豊富な知識を備え、学生のひとつひとつの質問に的確にそして丁寧に答える製薬企業の方々は、いまでも色あせない記憶として初対面であったにもかかわらず強烈な印象を残しました。教師になる前に社会に出てみるのも良い経験になりそうという軽い気持ちから、ここでこの人たちと働きたいという強い想いへ変化していきました。

 大学受験も同様に、人生が大きく変わるひとつの節目です。受験生のみなさんもぜひ今知り得ている情報からベストな選択をしてほしいですし、良い結果となることを期待して応援の言葉と替えさせていただきます。

市原 慎太郎 さん

平成22年3月 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業 (環境応答生物学研究室、現環境応答植物学研究室)
平成22年4月 エーザイ株式会社入社(MR:医薬情報担当者)

 はじめまして、平成22年に東京薬科大学を卒業した市原です。卒業後、私は製薬会社のエーザイ株式会社に入社しました。製薬会社の中には研究、開発、生産など様々な職種がありますが、希望が叶い、営業職に就くことができました。博学で多趣味なドクター、薬剤師の先生方と接する毎日は刺激的です。IT社会の中にあって、いまだにアナログな人と人のふれあいが営業の醍醐味です。特に、営業は経験がものをいう業種だと思います。

 そんな私の大学時代ですが、やりたいことしか、やっていませんでした。下宿でしたので、毎日遅くまで仲間と遊び、サッカー部に入って大好きなサッカーをやっていました。研究室に入ってからも、先生方、先輩方に学び、研究をがんがん進め、研究の合間には研究室対抗のソフトボール大会に向けて猛練習し、優勝することができました。今になって、思い出しても、本当に充実の日々でした。

 思い出話もほどほどに、皆様のお役に立てそうな、私の経験を少しだけ紹介します。就職活動の準備だけは早かったと思います。この2つだけはやったということは、①就職活動を始める前に社会勉強として、喫茶店と本屋に入り浸り、ひたすら本を読み続けました。日本を引っ張っているリーダーたちの言葉はとても魅力的です。本を読むのが苦手でも絶対に大丈夫です。②希望職種にとらわれず、社会人と食事の場を設けていただき、コミュニケーションを取りました。思いのほか、周りに社会人はいらっしゃいます。物怖じせず、ゆっくり話せる場所で話してみましょう。まずは勇気を持って自分の研究室の教授室をノックしてみましょう。インターンシップも積極的に活用してみてください。

 在学中の皆様へのメッセージは言い訳をしない、自分の言葉には責任を持つ、この2つだけです。

児玉 遊 さん

2002年3月 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業 (環境応答生物学研究室、現環境応答植物学研究室)
2002年4月 山之内製薬(株)入社
2005年4月 アステラス製薬(株)に社名変更(山之内製薬(株)と藤沢薬品工業(株)が合併)

 私の仕事は、医薬情報担当者(MR)として、医師や薬剤師の先生方に日々面会し、自社製品の有効性と安全性の情報を提供をしております。このように書くと就職活動の企業説明会でも良く耳にする内容だと思いますので、少しだけ実際の日々を書いてみたいと思います。

 MRの仕事は、上にも書いたように情報提供活動が主であることは間違いありませんが、あくまでも営業です。どの会社もそうですが、MRの属する部門は、開発や研究ではなく「営業本部」です。ですので、日々、計画の進捗率に追われています。ノルマという言葉はありませんが、「計画」という名のノルマがあります。

 また、疾患の啓発や自社製品の普及を行うために、研究会・講演会を実施しています。研究会・講演会は、10人程度の小さなものから100人以上の規模のもの、時には全国の先生方に集まって戴き、1000人規模の講演会を実施したりします。これらの研究会・講演会の準備などもMRの仕事になります。(1000人規模の講演会は、本社が担当しますが。)

 2012年4月より、MRを取り巻く環境が大きく変化してきています。製薬業界として、接待に対して厳しい自主規制を敷くことになりました。これにより、接待の回数が大幅に減りました。休日のゴルフもかなり数が減っています。営業をする上での大切な武器が無くなってきていますので、仕事の仕方を変えなければいけない時期に来ています。MRは医療の一翼を担う者だという意識を持ち、医師・薬剤師から必要とされる人材になることが求められていると思います。
 
 やりがいは、自社製品が患者さんのお役に立てたことを医師、薬剤師の先生方からお伺いしたときに感じます。「自分が宣伝した通りの症例に先生がご処方して下さり、実際に症状も改善し、患者さんの喜びの声をお伺いする。」これが一番の喜びだと私は思っております。

 先程も書きましたが、MRは営業ですので、全ての患者さんに自社製品を勧めたいところでありますが、その症例毎に薬剤を勧める必要がありますので、時には他社製品をお勧めすることもあります。ですので、自社製品のみならず他社製品の特徴も勉強していないといけないのが、MRです。勉強は、毎月行っています。各営業所単位で集合研修を実施しており、合計で月に約2日間は勉強に充てることになります。

 生命科学部で勉強した遺伝子に関する知識や有機化学・無機化学などの知識は、いまでも役に立っています。最近は研究が進み、薬剤が体の中でどのように作用しているのかが詳細に解明される時代になりました。細胞内のDNAに対してどのように作用しているのかを勉強することも増えてきました。学生時代に得た知識が活かされているように思います。

 これからMRを目指される学生の方もいるかと思います。「MRはやりがいのある仕事である」と私は感じています。是非、一緒にMRとして医薬品を通じ患者さんの健康に貢献していきましょう。

片桐 史郎 さん

2006年 生命科学部 環境生命科学科(環境応答生物学研究室)卒業
2008年 大学院生命科学研究科 修士前期課程(環境応答生物学研究室)卒業
ヤンセンファーマ株式会社

 とりあえず会社名をご存知でない方も多くいらっしゃるかと思いまして,会社紹介を先行させて頂きました。題名に用いるくらい図々しくてすみません。製薬会社ヤンセンファーマ株式会社は皆様もご存知の大手ヘルスケアカンパニーであるJohnson & Johnsonの子会社であり,製薬部門を担当しています。日本のヤンセンファーマでは創薬は行っておらず,別のJohnson & Johnsonの子会社などが作り出した新薬候補を開発するところから担当しています。

 私は2008年に新卒でヤンセンファーマに入社し,現在5年目の日々を迎えております。職種は臨床開発,つまり「治験」ですが,その中で一人のCRAとして全国の医療機関(病院)を訪問し,自社の新薬候補のモニタリングを実施しています。もうそろそろ仕事で訪問していない都道府県は無くなってきたんじゃないかと感じるほど,いろいろな所に行かせて頂いていて,全国の美味しいものは食べれる・マイルは溜まる・日当はもらえるなどなど,イイことばかりです(笑)。業務では日々のモニタリングの中で,開発品の効果が顕著に患者様に現れ,生活の質(QOL)が向上した瞬間を目の当たりにした時や,医師の先生方と業務の面やプライベートな面で有意義にお話しさせて頂いた時などに本業務のやりがいを強く感じます。就職活動をするまで治験のことなど全く知らなかった私が,現在この業界でCRAとして従事出来ているのも大学および大学院時代の経験があるからだと強く思います。

 大学1~3年の時は体育会硬式庭球部での活動に全力を注いでいました。もちろん学業もそれなりには頑張っていましたが,部活動なくしては学部生時代の自分は語れないと思います。硬式庭球部からは内面的なこと,人と人が接する上で大切なこと,つまり基本的な礼儀や上下関係,チームで一つの目標に向かうことの大切さや,そのために必要なことなど多くのことを学びました。(もちろんまだまだあり,書き切れないほどです!)

 大学4年~大学院では研究室での実験が生活の主であったと思います。私は環境応答生物学研究室に所属し,都筑幹夫先生,藤原祥子先生のご指導の下,円石藻の円石形成機構の解明に取り組んでいました。残念ながら誇れるような研究成果は残せませんでしたが,先生方や研究室生活を共にした当時のメンバー及び先輩方に対する感謝の気持ちは忘れません。研究室生活では,地道なことも続ける忍耐力や体力,データを発表する際のプレゼン能力,そして意外と役に立っているのが論文を読むときなどの英語力です。英会話はまだまだ勉強中ですが,基本的な英単語は今でも文献やカルテを見る際に役に立っています。

 で,最後に,大学・大学院生活から今に生かされている一番大きなメリットは・・・東薬出身であったこと!!ヤンセンファーマは東薬出身の社員が非常に多いため,すぐ社内で同じ東薬出身の人が見つかり,輪が広がります。現在の会社での私のデスクの周りにも見える範囲で5人以上も東薬出身が。ぜひぜひ東薬出身のヤンセンファーマ社員がさらに増えることを期待してます!!

金城 健太 さん

2009年3月 大学院生命科学研究科修士課程修了 (細胞機能学研究室、現極限環境生物学研究室)
協和メデックス株式会社 研究開発本部 研究所 研究3グループ 勤務

 当社は、 血液検査などに使用される検査試薬や診断用機器の開発 ・ 販売を行っており、 私はおもに酵素反応を応用した検査試薬の研究開発に携わっています。 製品を開発する際、 特定の工程だけを担当するのではなく、 基礎研究や検査キットの構築、 製造法の作成、 品質検査規格の作成など最初から最後まで関われるので、 毎日が充実しており、 発売されたときは達成感を得ています。 また、 自分の立てた仮説に基づいて試作キットを構築し、 それが狙い通りの性能を示したときなども、 製品発売とはまた違う喜びを感じます。

 東薬に在学中には生命科学全般の幅広い分野を学びました。 中でも生理学や酵素学は現在の仕事に直結していますが、 当時 「これは今後の自分とは関係ないな」 と思った分野の知識がひと味違ったアイデアにつながり、 企業の研究員として役に立っていることを実感しています。

 私の思う東薬の魅力は、 学生と教員との距離が近く、 活発に交流できるところです。 研究室で卒業研究を行う際も、 ただ先生の指示に従うのではなく、 ときには学生側から意見を述べ、 互いに議論を重ねて研究を進めていくことができる環境だったことが印象的でした。 そのおかげで、 社会人にとって必要な 「自分で考え、 自分で実行していく力」 を身につけることができたと思っています。

藤田 道香 さん

2008年 3月 大学院生命科学研究科修士課程修了 (細胞機能学研究室、現極限環境生物学研究室)
小林製薬株式会社 日用品事業部 開発部 芳香消臭剤グループ 勤務

 入社当初から、トイレタリー用品や芳香消臭剤などの製品開発を担当しています。おもな仕事は、製品の中身の処方を考えることです。処方に使用する原料の安全性や価格に制限があったり、工場の既存設備で生産可能かどうかなど、乗り越えなくてはならないステップが多々あります。それだけに自分が携わったものが製品化され、店頭で売られている姿を見たとき、その製品を買っていただくお客様を偶然見かけたときなどは、何とも言えない達成感を味わいます。また、自分のアイデアがいくつもの関門を突破して製品化されたときも、この上ない喜びを感じます。

 生命科学部の魅力は、ずばり実習です。基礎から応用まで網羅され、実験を通して理解が深まるとても充実した内容でした。毎週のレポート提出は大変でしたが、忘れないうちにまとめることで記憶に残り、理解を深めることができました。それが今の私の基礎になっています。

 また、バドミントン部での活動を通じて、コツコツ努力し続ける粘り強さと忍耐力、そして何より体力が身につきました。今でも仕事でつらいときやここ一番の踏ん張りどきには、いつも部活時代を思い出します。すると、まだまだ頑張れるぞ!絶対できるぞ!と自信が湧いてきて、私に活力を与えてくれます。

北島 明日香(旧姓 中村)さん

2008年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境ストレス生理学、現環境応用動物学研究室)
2012年 島根大学医学部医学科卒業
自治医科大学附属さいたま医療センター 卒後臨床研究室所属 初期臨床研修医

 私は東薬卒業後、医学部学士編入試験を受け、島根大学医学部に編入しました。四年間の医学生生活を経て、現在は初期臨床研修医として、様々な診療科を回り、医師として基本的な手技や診断技術を学んでいます。これまでの学生生活とは違い、机の上の勉強だけではわからないことや教科書通りには行かないことが多く、研修医になってからも日々学ぶことは非常に多いです。救急部の当直もあり、毎日多忙な生活ですが、患者さんの容態が回復するととても嬉しく、医師としてのやりがいを感じます。

 東薬で学んだ生命科学の知識は、医学の基礎として医学部の勉強の際にもとても役に立ちました。知識だけではなく実験技術もとても重要で、医学部在学中に「生命科学を専攻していた」というと先生方から一目置かれ、研究に誘われたこともありました。

 私は高校時代まで、医師になりたいと思ったこことは一度もありませんでした。東薬に入って、生命科学の分野を勉強していくうちに、この知識を遺伝子・タンパクのレベルでだけでなく、人体まで系統立てて学びたい、臨床の場に還元したいと考えるようになりました。そこで東薬の先生方からの援助もいただき、編入試験を受けるに至りました。やりたいことは変わることがあります。そんな不安定な私をいつも見守り助けてくださった東薬の先生方、仲間たちに心から感謝しています。東薬はやりたいことができる場だと私は思っています。いつも自分のアンテナを張り、そして意思表示のできる方、ぜひ東薬で自分をブラッシュアップしてください。Where there is a will, there is a way.

工藤 敦子 さん

2001年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(生態学研究室)
薬樹株式会社 よつば薬局さぎぬま 勤務

 私は調剤薬局で事務の仕事をしています。仕事内容は処方箋の受付・入力、お会計、レセプト業務、薬剤師さんのサポート、商品販売等です。毎日多くのお客様と接し、一人でも多くの方に満足して頂けるようスタッフが一丸となって頑張っています。

 私は店舗の商品販売の担当もしているので、お客様に喜んで頂きながら売上を伸ばす事にも力を注いでいます。販売しているのは、血圧計・お肌にやさしい化粧品・体に良い飲食物・衛生用品等200種類程度です。ポスター・販促物・展示方法で工夫をするのはもちろんの事、薬剤師さんが投薬時にプロモーションできるように月ごとにメインの商品を企画し販促物の準備等もしています。 また、排卵日検査薬のように心理的に買いにくい商品を、より気軽に買えるような仕組みにし売上を5倍にアップさせました。この仕組みは成功例として、当社の140店舗全店に広まっています。スタッフの協力もあり商品販売の売上は当社でトップクラスを維持しています。

 薬局の事務の仕事は生命科学とは直接関係はありません。その為、内定が出た後で戸惑いもありました。そんな時に生態学研究室でお世話になっていた東浦先生から「生命科学部出身として薬剤師さんが働きやすいシステムを作って下さい。」という言葉を頂きました。入社以来その言葉を何百回と思い出し、現状に満足せず 「どんな仕事をする時も生命科学部出身だからこその付加価値をいかにつけていけるか」 を常に考え業務に臨んでいます。

 私は高校生の時、自分がやりたい事・向いている事がさっぱりわからず、何となく興味のあった生命科学部に入りました。早くから目的をしっかり持てる方は素晴らしいと思いますが、かつての私のようにモヤモヤしている方もおられると思います。そのような方でも、少しでも生命科学に興味があるのなら、必ず何かをつかみ取れる環境があります。自然豊かなキャンパスで、様々な実習や幅広い分野の勉強、向上心を持ったバイタリティ溢れる先生方・学生達とのふれ合いがあります。

 生態学研究室では自分の研究の他に、教授の研究のお手伝いで蛾の卵の採集旅行に行ったり、蛾の幼虫を育てたりと大変貴重な経験をさせて頂きました。また、部活のワンダーフォーゲル部では仲間と共に色々な貴重な体験をした事で忍耐力と一生の思い出が残りました。東薬で刺激溢れる学生生活を送れた事が 現在、商品販売の販促方法を練る時や様々な要望を持ったお客様と接する時などに生きていると大いに実感しております。

藤井 かおり さん

平成23年 大学院修士課程修了 (環境ストレス生理学、現環境応用動物学研究室)
旭化成ファーマ株式会社 臨床開発センター 臨床開発部 勤務

 私は、臨床開発職として、研究部門で合成された新薬の候補が人体に安全で、有効な効果があるかを確認する仕事にたずさわっています。この仕事は、新薬を世に出せるかどうかを決定する重要なステップです。私たちの仕事は医師と協力し、病気に苦しむ人々の負担を軽減する薬を開発することです。私たちは常に「この薬を待っている人がいる・・」そんな思いで日々の業務に励んでい ます。

 東薬では「学んだことを整理し、知識の引き出しを作ること」の重要性を教えて頂きました。生命科学部では多岐に渡る知識を習得することが出来ます。知識の引き出しはコミュニケーションツールの一つにもなりますし、調べ物をする際には答えにたどり着くまでの近道にもなります。

 東薬には多くの自然と充実した研究設備があるため、スポーツや学業、研究など自分が注力したいことに打ち込める環境が整っています。多くのことにチャレンジし、自分の力でカタチ(成果)にすることにこだわりを持って取り組む姿勢は社会に出てからも大きく役立ちます。社会に出れば多くの東薬の先輩方が皆さんを支えてくれます。私の会社にも東薬出身の先輩方がたくさん居てとても心強い存在です。歴史ある東京薬科大学ならでは、だと思います。

安本 龍祐 さん

平成10年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業
平成12年 大学院修士課程終了 (環境分子生物学研究室 現 応用微生物学研究室)
ヤンセンファーマ株式会社 勤務

 私は現在、製薬会社の営業(MR)をやっています。経歴は生命科学部を卒業した後、修士課程2年を経て、カテナ株式会社(現:株式会社システナ) へ就職しシステムエンジニアとして3年間職務につきました。その後、前職の日本イーライリリー株式会社にてMRの職に就き、現在はヤンセンファーマ株式会社に所属しています。

 2年間の研究生活、3年間のエンジニア、そして10年以上の営業を経験して思うのは、仕事や会社が変わりゼロからのスタートは大変ですが、苦労した分、自分の経験値があがりその経験が今の仕事に少なからず活かせているということ。これからも新しいことにチャレンジして自分のレベルアップを図りたいと考えてます。

中田 啓司 さん

平成12年 大学院修士課程修了 (環境分子生物学、現応用微生物学研究室)
同年 マルコメ株式会社 商品開発、マーケティング、設備設計、通販等に従事
平成26年 発酵未来研究所  主席研究員

 「発酵食品って、おいしいね!健康にいいね!」という話を最近よく耳にします。
 そして私は、発酵食品は何でおいしいのか?健康にいいのか?これを考えると非常にワクワクしてきます。

 発酵食品には、味噌、しょうゆ、日本酒、酢、ビール、ワイン、チーズ、ヨーグルトなどがあり、日本や欧州を中心に世界中で食べられています。

 私たち人間は、発酵食品を食べることで、消化吸収がよくなったり、整腸作用があると言われています。最近では、免疫や美肌、肥満まで関係しているという報告もあります。

 私たちと発酵食品とのかかわりは、4000年以上前(ワインなどのお酒はそれ以上前)と言われています。発酵食品を食べるようになった説はいろいろありますが、長きにわたり培われ、研究が進歩した今、改めてこの発酵を見直すと、大変すばらしく、私たちに与えられた宝物のようにも感じます。

 地球上に人類が誕生してから現代に私たちには、1人当たり何十万人ものご先祖様がいる計算になります。より長生きをし、仲間を増やし、子孫を繁栄させることが生命の使命だと感じますが、食事は、その生きるために最も必要なことではないかと思います。それは、目に見えない、微生物でも、大きな動物でもそれは、同じです。そして、厳しい地球環境の中で、人は大きな脳を持ち、賢く、そして柔軟に生きる術を獲得してきました。その一つが、さまざまな微生物と共生し、自らの健康を保つためのしくみの獲得ではないかと思います。これは、祖先が、何十万回ものトライ&エラーを繰り返した結果で、今の食事に影響していると考えます。

 私は食べることに、もっと興味を持ち、執着し、貪欲でありたいと考えます。そのことにより、今まで人間が歩んできた足跡を知ることでもあり、これからの歩み方を知る手掛かりがあるように思うのです。そのキーワードの一つが「発酵」であると考えています。

 私たち発酵未来研究所では、今までの食や発酵について適切にとらえ、未来に向けて発酵のチカラを世界中の人々に提供したいと考えています。

 おもに3つの柱があります。①発酵の良さを知るために各研究機関と共同研究をし、②新たなエビデンスを学会発表、または、一般の方に向けた発酵セミナー「発酵Labレストラン」「発酵Ambassador講座」などにてわかりやすく伝え、③エビデンスをもとにした商品づくりや販売を行っています。

 特に「発酵Labレストラン」では、国内外のトップシェフや研究者、美容・健康の有識者などに協力を頂きセミナーを開催しています。このセミナーでは、業種を超えた輪の中から新たな視点に立ち、発酵のしくみや知識そして食べ方の工夫を盛り込んだ講座を、東京・大阪を中心に開催しています。ここで、登壇頂く先生方は、弊所が認定した発酵の知識を持つ発酵マエストロで、一般の方の目線でわかりやすく講演をして頂いております。

 そして今回は、在日外国籍の方を対象にした発酵セミナー「発酵Ambassador講座」を開催しました。発酵講座のほかにMyレモン塩糀づくり体験や発酵調理デモンストレーションを行いました。(詳細は、こちらから) 使用言語は英語(一部通訳)です。日本における発酵食品は、世界に例を見ない特徴を有しています。和食がユネスコの無形文化遺産に登録され、世界における和食文化は大変注目されています。和食の味付けのベースになっている酒、みそ、しょうゆなどは、どれもが発酵です。参加された方には、日本の発酵食品は、おいしいだけでなく、最新の研究をベースに健康によいことを知って頂き、母国の料理に生かしてほしいと願っています。長寿の国、日本がもつオンリーワンの食文化にこの発酵があるからです。

  発酵未来研究所は2014年にスタートしたばかりですが、たくさんの方々のお力を借りながら、少しずつ、前進しています。私たちは、まだ世の中にはない「おいしい」や「たのしい」をカタチにし、幸せに満ちた未来を世界の人々と共有できることを目指して、研究をしています。

 私は、環境生命科学科・環境分子生物学研究室(現・応用生命科学科・応用微生物学研究室)にて、生命科学や微生物の基礎や研究の進め方、チャレンジする大切さなどたくさんのことを学びました。卒業後も何らかの形で、生命科学に携わる仕事をすることができ、大学で学んだことが今でも仕事や生活の根底にあります。受験生や在校生には、大学で勉強や研究するのはもちろんですが、多くのことにチャレンジして、大学生活を謳歌してほしいなと思います!

新納 寛也 さん

2014年 大学院修士課程修了(細胞機能学研究室、現 極限環境生物学研究室)
株式会社ロッテ 生産系 勤務

 ものづくりを通して人のライフスタイルに関わる仕事がしたいと考え、食品分野を希望。ロッテは、幅広い年齢層に愛される商品を数多く作っているところが魅力で志望しました。研究ではなく生産部門を選んだのは、そこがものづくりの最前線だから。研究開発段階で作ったものを機械で再現し、大量生産するのは実は非常に大変なことだと聞いていますが、技術の向上やラインの組み立て方を工夫し、開発段階にこめられた思いを反映させた商品を作っていきたい。3年間の研究を通して、重要なのはつまずいたときに自分の考えに固執せず周りの意見も取り入れて客観的に考察し、結果につなげることだと学びました。その経験を活かすことができればと思っています。

 就活中は、キャリアセンターが外部講師を招いて開催していたビジネスマナーなどの講義に毎回参加し、モチベーションUPに利用。最終面接の前には、キャリアセンターで個人面接の練習もお願いしました。ロッテの面接に合わせて質問内容を調べてくださり、食品メーカーが抱える問題などを取り上げてくださいました。実際の面接で同様の質問も出ましたし、なにより練習したことで心構えができ、楽に本番に臨めました。感謝しています。

岩見 祥子 さん

2009年3月 生命科学部卒業(細胞機能学研究室、現極限環境生物学研究室)
森産業株式会社 研究開発部  勤務

 私は食用きのこの種菌メーカーにて、マスター菌株の維持管理と、種菌の培地組成の検討を担当しています。菌株の管理では、凍結保存と継代培養を併用し、常に各品種の菌株を一定の品質で工場に出庫することが求められます。まれに販売終了した品種が復刻することもあるので、気が抜けません。

 培地組成の検討では、現行組成と新組成を比較するのですが、どのタイミングで、何を測定するのか、母数を何本にするのかといった実験計画が重要です。生物相手の仕事な上、培地も天然物(おが屑や米糠など)ですので、毎回必ずしも同じ結果にはなりません。東薬大で先生がよく仰っていたコントロール(対照)の重要性を、今になって実感しています。意味のある結果を得られるような実験計画を立てるべく、日々知恵を絞っています。

竹田 悠見子 さん

平成23年 大学院修士課程修了 (環境分子生物学、現応用微生物学研究室)
キリン協和フーズ株式会社  生産本部 生産技術部 勤務

 キリン協和フーズ(株)は、発酵技術を基盤とした調味料、食品素材、製菓•製パン資材を加工食品メーカーや中•外食チェーン、製パンメーカーに提供している会社です。その中で、私が所属している生産技術部は、製品を製造する際の生産性を向上させる方法の検討、コスト削減方法の検討等、工場での生産をより効率良く行なう方法を考える部署です。

 私は就職にあたって、微生物利用をメインとした業務に携わりたいと思い、キリン協和フーズ(株)を志望しました。就職活動の際には、このような具体的な希望がありましたが、大学入学当時は、自分が何に興味があり、将来何になりたいかなんて全く定まっていませんでした。このように漠然とした状態で入学した私にとって、東京薬科大学の幅広い授業カリキュラムは魅力的でした。1年次から始まる学生実習を含め、理系全般に関する知識を総体的に学ぶことができたことは進路選びに役立ちました。このような授業を通して、私は、生物学、その中でも特に微生物学に強く興味を持ちました。微生物についてより深く専門的に学びたいと思い、学部3年生の時に、後の所属先となる環境分子生物学研究室(現、応用微生物学研究室)を訪問したところ、なんと、その翌日から研究室で研究をさせていただけることになりました(通常、学部4年次から研究室配属)。このように、本人のやる気を伸ばすようにサポートしてくれる体制も東薬の魅力の一つだと思います。さらに、研究室では3人の先生方がいつでも気軽に相談にのってくださり、充実した研究生活を送ることができました。

 東薬での学生生活の中で将来の希望が決まり、その希望を伸ばしてくれたからこそ、現在の職につくことができたと思います。現在、私が持っている仕事の一つに「微生物の育種」があります。育種とは、目的物質が多く得られるように微生物を改良することで、その微生物改良の検討をするにあたって、遺伝子操作技術を利用することがあります。遺伝子操作は東薬での授業や研究室生活で基礎からしっかりと学んでいたので、抵抗なくスムーズに仕事を進めることができています。

 社会人になって、仕事を進める中でまだまだだなと思うことは多々ありますが、東薬で培った基礎的な技術や知識は全ての土台となって活きていると感じています。

平野 泰子 さん

平成23年 環境ゲノム学科(現応用生命科学科)卒業 (環境分子生物学、現応用微生物学研究室)
再春館製薬所  研究開発 勤務

 私は平成23年に東京薬科大学を卒業し、熊本県の株式会社再春館製薬所で化粧品ドモホルンリンクルの研究・開発を行っています。

「皆さんは化粧品の開発と聞いて、何を想像しますか?」

 私の会社は、テレマーケティングシステムを利用した通信販売で商品を直接お客様へお届けしています。商品開発をする上でもお客様と直接お話しする機会が常にあり、「どんな商品を使ってみたいのか?」「どんなお肌の悩みがあるのか?」など、商品コンセプトのヒントをインタビューで伺う事ができます。その会話一つ一つでお客様と深くお話をすることで「どんな化粧品にしたらよいか?」「どんな成分を入れたら悩みを改善できるか?」など商品の特性を築け、実際商品の設計、試作を行う事が出来ます。この会社では手掛けた商品が世にでるまでの全てを見届ける事が出来ます。私はまだ新入社員ですが、先輩方の力を借りながら日々ドモホルンリンクルを使ってくださるお客様のお悩みを改善する為に努力しています。

 在学中は就職活動の時期になるまで、どんな業種に興味があるのか?どんな仕事がしたいのか?ということは考えていませんでした。しかし、改めてこれまでに学んできた専門的な知識や実習を振り返ったとき、自分が何に興味を持っているのか気付く事ができました。皆様もご存じの通り、実習ではただ操作を行うだけでなく、内容を理解する為の問題が用意されていて、とても苦労した事を覚えています。今となってはそれがあったからこそ自分で考える力を育む事が出来、結果として化粧品開発と言う分野に興味を持て、今の道に進む事が出来たのだと思います。

 私は決して勉強が得意な方ではなかったのですが、友人や先輩に助けられなんとかここまで来ることができています。大学は勉強をする場所ですが、それ以上に生涯の友人を作って行ける所だと思います。これから東京薬科大学に入学する方、今大学生活を楽しんでいる在学生の方、将来を不安に思う事もあると思いますが、迷ったときは身の回りの友人に手を貸してもらいながら少し振り返ってみて下さい。意外な自分を知る事が出来るかもしれません。そして、自分の信じた道は迷わずに突き進んで下さい。

 東京薬科大学で4年間過ごし、沢山の思い出が出来、沢山の人と出会え、沢山笑って、沢山泣いて、沢山の人に助けられた事から自分が本当にしたい事が見つかり今の私を支え、現在の“縁”へと繋がっているのだと思います。皆様も是非、充実した時間を過ごして下さい。私はここ東京薬科大学に入学して本当に良かったと思っています。

朝山 雄太 さん

平成18年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
平成20年 大学院修士課程修了(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
株式会社ユーグレナ 研究開発部 リーダー

 突然ですが、ミドリムシってみなさん知っていますか?青虫やしゃくとり虫を想像した方、残念ながら不正解です。ミドリムシは虫ではなく大きさ0.05mmの藻の一種で、学名をユーグレナ(Euglena)と言います。

 私は大学・大学院では藻類の効率的な光合成能力に魅力を感じ、光合成系の研究を行っていました。その際、研究室の共同研究先企業として出会ったのが今の私の勤務先である株式会社ユーグレナ(以下、ユーグレナ社)です。そして私は今、ユーグレナ社でミドリムシを大量に培養・乾燥して粉末を作り、それを主に食品素材に用いる会社で研究・製品開発・品質管理と幅広い業務に携わっています。

 ユーグレナ社はユーグレナ(ミドリムシ)で温暖化を中心とする環境問題の解決や、培養したバイオマスを食料や燃料に利用する技術を確立し、事業化を進めることでエネルギーや食料問題の解決を目指す会社で、まだ成長中のベンチャー企業です。当時の私は「環境問題の対策は節約が中心で、経済活動と相反する」と考えていた中で、ユーグレナを培養し用いる技術が環境や食料問題の対策と経済活動の拡大を両立できるという点がとても面白いと感じました。そしてその問題解決のための技術開発に携わりたいと決意し、株式会社ユーグレナの採用面接を受けました。しかし、私が入社したのはリーマンショックの煽りを受け、世間では内定取り消しなどが相次いだ2009年の春でした。起業して数年のベンチャー企業も危機の例外ではなく、私は研究員として採用されたものの、環境問題対策などの収益を上げるまでに時間を要する技術開発や基礎研究よりは、実際に収益になっている食品部門の製品開発や品質管理業務を中心に携わることになりました。そこから会社はV字回復ならぬV字成長を遂げます。当時社員20人程の企業にて、規模が何倍にもなっていく成長に製品開発を通じて貢献できたことはラッキーでした。

 大学院まで進学した私は当初、環境や食糧の問題解決には技術開発が必要だと考え、技術開発に携わるつもりで入社をしました。しかし、メーカー・商社・販売店等様々な立場の方々と共に仕事をしていく中で、一つのことに集中するだけでなく、より社会との接点の多い業務を経験してみたいという気持ちが出てくるようになりました。現在は品質管理や製品開発を中心に、研究だけでなく、国の助成研究費への申請・予算管理やプロジェクトの立案・進捗管理なども担当しています。今最もおもしろく感じているのは、より付加価値の高い原料の開発プロジェクトです。ユーグレナの成分を精製・修飾などの処理を行うことにより、より高い効果効能や新しい用途を有する素材が得られるのではないかと期待をしています。

 ベンチャー企業に入社するのはメリットもデメリットもありますが、私の場合は多様な仕事を経験することができ、新たな自分の興味や関心を引き出すことが出来ました。おそらく通常の就職活動をするだけではユーグレナ社との出会いはなく、所属していた研究室がユーグレナ社と共同研究をしていなかったらこうした縁はありませんでした。東京薬科大学では先生と学生の距離感が近く、先生が共同研究先と打ち合わせをしている場に学生も同席する機会をもらうこともあります。研究を自分で行うだけでなく、企業の視点や大学の特性などにより、より広い視点で研究に取り組むことができるのも東京薬科大学の魅力ではないでしょうか。

原 来人 さん

2003年 大学院博士課程修了 博士(生命科学)(極限環境生物学研究室)
協同乳業株式会社 研究所 技術開発G 勤務

 人生って何が起こるか分かりませんね。高校時代、私は文系のコースに在籍していました。しかし高3の時に将来について考える機会がありました。当時、生物の授業がとても楽しかった事もあり、大学受験の際に思い切って理系の大学を受験する事にしました。そして奇跡的に生命科学部に入学する事ができました。不思議なものです、高校時代、大嫌いだった化学や物理が、大学1年生の講義ではとても楽しく感じられました。人生、気持ち次第で大きく変えられるのだと実感した時でした。

 学部4年生から第1希望だった細胞機能学研究室に配属され、山岸教授のご指導の下、昆虫の腸内に生息している古細菌や海底熱水域の微生物の研究に携わりました。特に大学院では、産学官連携の共同研究に参加して色々な方と交流を持たせて頂いたり、試料採取の為に航海に出させて頂いたり、国際学会で口頭発表させて頂いたり、とても貴重な体験ばかりさせて頂きました。このような体験をして来た同僚、社内を見渡す限りいません。

 今は、協同乳業株式会社(http://www.meito.co.jp/)の研究所に勤務しています。生命科学部で身に付けたスキルを存分に発揮して微生物の研究や発酵食品の開発を行ったり、海外の企業と現地で共同開発したりしています。商品の開発ではまず、実験室で1L程度の小スケールで試作を行います。この際重要なのが、工場で製造可能な商品を試作する事です。小スケールで試作品ができても、工場の機械で作れなければ意味がありません。その為に、工場の機械の特性や能力を熟知している必要があります。小スケールで上手く作れたら、次は研究所の試験機を使った試作です。試験機は工場にある機械の小型版のものです。この試験機で数10Lスケールの試作を行ってから、工場の実機で試作です。ここでは一気に数tまでスケールアップされるため、失敗が許されません。その為に、何度も何度も研究所で試作を行うのです。工場での試作に成功したら、遂に本製造開始となり、自分が開発した商品が店頭に並ぶ事になります。一番嬉しく、やりがいを感じる瞬間です。このような仕事に携われているのは、生命科学部に大きく成長させて貰えたからです。生命科学部の大学入試に文系なのに迷い込んだところを見捨てずに拾って頂き、研究者に育てて下さった東京薬科大学の先生方、指導教官の山岸教授に大変感謝しております。

光井 麻優香 さん

平成22年 大学院修士課程修了 (環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
大塚食品株式会社 琵琶湖研究所

 食品業界は商品の入れ替わりが非常に多い業界です。その中でも私の会社、大塚食品では「どんどん新しい商品を」ではなく、「じっくり良い商品を」という姿勢で開発時間を惜しまず丁寧にひとつの商品をつくっています。レトルトカレーのボンカレーや無糖紅茶のジャワティ、大豆生活を広めたスゴイダイズやSOY JOYなど世の中にない新しいものの開発を目指しています。

 その中で私が今担当している仕事は、現在米国で販売している冷凍野菜スープの新アイテムの開発です。この商品は極力味付けをせず、最低限の加熱調理で野菜本来の味や栄養を表現した商品です。日本では余りなじみのない野菜を使うこともあり、現地まで行き、その原料を使用した様々な料理を食べ、そのものの味や特徴を知ることも開発の仕事です。

 入社2年目になるころから、仕事を任せてもらえるようになり、毎日研究所のキッチンに立ち、包丁と鍋と格闘しています。工場の何百キロもある機械で生産される商品の裏には、普通の家庭にあるキッチンのような実験室で重ねる何百回もの試作があります。「美味しい」の言葉に含まれる無数の意味を、自分なりに言葉で表現し相手に伝える味の評価は、非常に難しいと思い知らされました。昨年ですが、自分が研究所で作った味と同じ味を工場で作るために米国まで足を運び、工場の大きな釜で作られているところを見た時は、嬉しかったです。やはりこの仕事のやりがいはこのように自分が開発したものが、食という生活に不可欠なものを通して、自分の身の回りの人を含めた多くの「人」の笑顔を作ることができることだと思います。

 大学の研究室で培った研究への忍耐や研究室という1つのチームでの協力、報告、また人間関係の大切さは、今の職場でも変わりません。これからもまだまだ勉強することはたくさんありますが、いつか会社の軸となるような商品を1から開発出来るよう、様々な知識と興味を持って毎日過ごしたいと思っています。

  これはオプションですが、研究所は琵琶湖の畔にたっています。非常に環境がよく四季を通して毎日変わる湖の表情に感動します。このような場所で仕事することでのびのびと色々なことをじっくり考えることができ、今あるヒット商品が生まれてきたのかもしれません。(平成24年1月)

 

平成27年9月1日 開発に関わったチアシードビスケット(写真下)が地域限定で発売されました!
(こんなに深く関わった製品は初めてと言う光井さん。(つぶつぶがジェル状に変わるような)とても珍しい食感でしかもとても美味しいと伝えると、いつも通りゆったり控えめながら嬉しそうな光井さん。今後の益々の活躍を期待しています。ガンバレ光井さん! 応答一同)

鈴木 淳史 さん

平成14年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
オリオンビール株式会社 名護工場 製造本部 勤務

 私は、平成14年に環境応答生物学研究室を卒業し、現在は沖縄のビールメーカーで働いています。私が在学していたときの環境応答生物学研究室は、とても自由な風土で、先生方のご支援も厚く楽しい研究室でした。季節ごとのイベントが多く、先輩後輩の助け合いの精神があり、研究以外の部分でも学ぶことが多い研究室だったと思います。

 卒業論文はサンゴのタンパク質を対象として進めました。卒業論文の作成はとても大変な作業でしたが、研究室全体の雰囲気が明るかったため、楽しみながら書き上げることが出来ました。在学中の経験として、「大変なことも笑顔があれば乗り切れる」ということを学べたことは、私にとってとても大きなことだったと思います。

 当時からの海好き・サンゴ好きが高じて、卒業後は琉球大学の修士課程(海洋生物学)に進みました。ここでも環境応答生物学研究室で学んだことが生かされ、新しい研究室の半数を占める留学生の人たちとも、楽しく研究生活を送ることが出来ました。コミュニケーション力の大切さを痛感した2年間でした。

 そして現在は、沖縄県内のビールメーカーであるオリオンビールという企業で、念願だった商品開発の仕事を行っています。ビール業界初の「糖質ゼロの第3のビール」を開発したことなどで、沖縄県内のご当地CMや、新聞の記事として取り上げて戴く事もできました。

 これまでの人生を振り返って、環境応答生物学研究室の自由な風土で過ごした1年間は、私にとってとても大切なものだったと思います。自分の興味を追求することは勇気がいるので、悔いのない人生を過ごすためにも、自分にとって良い経験の出来る研究室(大学)を選んでいって下さい。

開発された商品のCMに出演された鈴木さん(youtube)
http://www.youtube.com/watch?v=8u-vancm5ec

徳田 健 さん

平成21年 生命科学研究科修士課程修了(細胞機能学研究室、現極限環境生物学)
日本ハム株式会社 デリ商品事業部 諫早プラント 商品開発課 勤務

 当社のデリ商品事業部はハム、ソーセージ以外の当社の全ての商品を扱っています。中でも、私の所属する商品開発課では新商品のサンプル試作と商品を現場で製造する時に、実際にどの機械をどう組み合わせるかを決めることを主な業務としています。

 スーパーに自分が作った商品が陳列されているのを見たときには、この仕事をしていて本当によかったと実感しました。商品設計にはコスト、品質を両立させなければならず、1つの商品を作り上げるまでに多くの試作を行います。また、納得のいく試作品が完成したら、それをどう製造するかを考えなければなりません。ひとつひとつの工程でのテスト結果をもとに、問題を解決していくプロセスにも、この仕事の大きなやりがいがあります。

 学生時代に実習や研究活動を通して培った分析力と考察力は、現在の仕事をする上で大いに活かされています。優秀な教授陣、自然に囲まれた落ち着いたキャンパス、充実した研究施設など、東薬には学生の学習意欲に充分に応えてくれる環境が整っていました。また、学生自治会や部活動では様々な困難を友人たちとの協力で乗り越えてきました。仕事でも他人との協力が不可欠ですが、そのためのチームワーク力は、それらの活動によって得られたのだと思っています。

梅田 直 さん

2004年 生命科学部 卒業 (細胞機能学研究室、現 極限環境生物学研究室) 
2006年 東京医科歯科大学大学院 バイオ情報学専攻 修士課程 修了
タカラバイオ株式会社 営業部 勤務

 現在の私の仕事は営業担当者として公的研究機関や企業の研究員の方々へ、バイオテクノロジー分野の試薬、理化学機器、受託サービスのご案内をしたり、ご購入後のサポートをしたりすることです。取り扱う製品群はPCR酵素や制限酵素などの遺伝子工学分野から初代培養細胞、遺伝子導入試薬等の細胞工学分野までと幅広く、最先端の研究に関わる試薬類も多いため、仕事を進めていく上で様々な分野の研究内容を一定のレベルまで理解しておくことが必要になります。

 東薬では生命科学を学ぶ上で必要な基礎知識や英語、コンピューターに関する教育を受けることができました。また、卒業研究の時には細胞機能学(現 極限環境生物学)研究室に所属し、タンパク質を材料としたナノバイオテクノロジーに関するテーマで研究をおこないました。研究を進めるに当たり、山岸先生、赤沼先生をはじめ多くの先生方が丁寧にご指導下さったことは大学院に進学し研究を進めていく上でとても役立ちました。当時は、好奇心こそ旺盛なものの基本的な実験が思うように進まないことや論文の解釈に戸惑うこともたくさんありましたが、基礎から丁寧に教えていただけたことにとても感謝しております。

 今の仕事においても、東薬での教育、研究を通して学んだ知識と考え方は私の軸となり、自分にとって未知の分野であっても効率的に知識を身に着けていく上で大変役立っています。また、日々、様々な研究分野のお客様とのコミュニケーションを通して新たな学びがあり、ご案内させていただいた試薬が実際に役に立った、論文が書けたと連絡をいただけた時には大きなやりがいを感じます。

松本 寛子 さん

2005年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
2007年 大学院修士課程修了 (環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
日本農薬株式会社 研究開発本部 安全性・医薬ユニット 毒性・薬理グループ 勤務

松本さんからのメッセージ
 高校時代、ダイオキシンや化学物質による環境汚染と生物への影響がニュースで多く取り上げられているのを見て環境浄化や生物多様性に興味を持ち、日本で初めて設立された生命科学部である生命科学部環境生命科学科(現生命科学部応用生命科学科)に入学しました。

 学部時代、部活にバイトに勉学にと充実した毎日を送っていましたが、私の将来を決める転機となったのは、研究室配属を間近に迎えた3年次の多様性生物学の講義でした。そこで初めて微生物を用いた環境浄化作用であるバイオレメディエーションについて知り、「こんな小さな生物が地球を救うことができるんだ!」と微生物の未知なる力・機能に衝撃を受けました。その後、微生物の新たな機能について学びたいという一心で専門課程および大学院は環境応答生物学研究室(現環境応答植物学研究室)で単細胞緑藻を用いたヒ素耐性機構について研究を行いました。先日、本研究の投稿論文が受理されたという知らせを聞き、このような研究に携わることができたことを大変嬉しく思っています。

 卒業後、農薬メーカーで安全性研究を行っています。入社するまでは農薬に関する知識はほとんどなく、唯一知っている農薬といえば学生時代に読んだレーチェルカーソン著の「沈黙の春」でヒトに高毒性・高蓄積性で、環境中での難分解性の農薬と指摘のあったパラチオンやDDT、有機水銀等であり、農薬に対して良いイメージは持っていませんでした。しかし、実際に農薬の安全性研究に携わってみると、現在の日本において上に示したような農薬の使用は禁止されていることや、新規農薬の開発には動物を用いた試験(遺伝毒性、発がん性、発生毒性試験、代謝試験)や環境に対する影響(河川や湖沼、土壌中における動態・分解性、環境生物への影響)など膨大な試験が要求され、厳しい評価を通過した薬剤だけが使用されることがわかりました。自分自身が試験した農薬は自信をもって安全で安心して皆さんに使って頂けると思っています。

 現在私はげっ歯類を用いた毒性試験に携わっており、特にラットを用いた繁殖毒性の評価を主なテーマとしています。最近ではラットだけでなく魚(ゼブラフィッシュ)を用いた研究にもチャレンジしています。これらは大学で学んだ内容とは大きく異なるものですが、大学で講義を受けた生理学、酵素学あるいは遺伝学等の基礎知識や大学院時代に培った研究者としての基礎学力など、いずれも企業での研究に十分役にたっています。恩師の都筑教授、藤原祥子准教授には本当に感謝している次第です。今後も東薬で学んだことを研究に活かし、より安全で環境に低負荷な農薬の開発を行っていきたいと思っています。

大木 利哉 さん

1998年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
2000年 大学院修士課程終了 (環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
パナック株式会社  新事業開発本部 新事業開発二部 勤務

 私は現在、環境応答で研究を行っていた微細を仕事にしています。まだ今の仕事を始めて8ヶ月ほどしか経っていませんが、部署名からお解かりの通り本業のプラスチックフィルム(薄型テレビや某リンゴのスマートフォン・タブレットなどの液晶にも使われています!)とは全く異なる分野で新たな事業を起こそうというのが私の所属する部隊です。ですので皆バラバラの仕事をやっています。社内に居ながら異分野に接する事ができる非常に面白い部署だと思います。

 まだまだ可能性の域を超えていない微細藻類ではありますが、だからこそやりがいを感じ毎日がドキドキワクワクです。微細藻類も「藻からオイル」ということで最近注目されてきて、各メディアでも取りざたされるようになりました。生命科学部を選んだ理由が微細藻類でしたから、かれこれ20年近く思い続けていることが仕事にできて非常に幸運だと思います。

 そうは言っても社会に出てからそんなにスムーズにここまでたどり着いた訳ではありません。どちらかと言うと反面教師になりそうですが、私はこれまで5回の転職をしており、パナックが6社目になります。現在残っているのはその内3社です。世の中そんなに甘くはないという事です。ただ、今回も含めて内4回はかつて仕事で関わりのあった方の伝手で就職できました。ですから人との繋がりは非常に大事だと常日頃から感じています。これまでの仕事でも環境応答の先生方に多くのアドバイスをいただいており、卒業後も図々しく教え子の気でいます。すみません・・・。

 また、小さなことではありますが久しぶりにラボへお邪魔した時に、私たち1期生が作った洗い物干し場がまだ利用されているのを見て本当に嬉しかったです。これを作った時も皆であーでもないこーでもないと知恵を出し合って完成させたことを思い出します。こうした経験が仕事において大いに役立っていると思います。会社の数もありますが小規模のパイロットプラント・ラボの立ち上げを計5回行いました。そして今現在、世界初の技術開発に挑んでいます。

 このようなことから、私は人とのつながりの大切さや何かを生み出そうとする力を東薬において学べたと思います。その他挙げればキリが無いのでこの辺で・・・。受験生・在学生の皆さん、必ず東薬でしか得られない何かがあると思います。がんばって下さい!

平原 知香 さん

平成18年 生命科学部環境生命科学科卒業(環境応答生物学研究室、現環境応答植物学研究室)
平成20年 大学院生命科学研究科修士課程修了 (環境応答生物学研究室、現環境応答植物学研究室)
日本製紙株式会社 勤務

 製紙会社と聞くとみなさんは何を思い浮かべますか?私たちは名前の通り紙を製造しています。ただ紙といっても印刷用紙、新聞用紙、家庭紙と様々な種類の紙が存在します。私は入社以前、紙の原料が木材であることは知っていましたが、紙ができるまでの過程に、木材以外のものも使用されているということに驚きを感じました。木材以外のもので代表的なものは、填料といわれる無機鉱物になります。この無機鉱物は紙の白さや不透明さを出すために欠かせないものとなっています。私は現在、この無機鉱物の研究に携わっています。紙で使用する無機鉱物はもちろんですが、紙以外の用途研究も並行して進めています。そこで求められるものは、柔軟性と発想力です。研究に携わってまだ3年半と短い年月で、自分の発想力の乏しさに心が折れそうになる時もありますが、周りの優秀な先輩たちの良い所を吸収しながら日々仕事に取り組んでいます。プライベートでは、職場の人たちと、ゴルフ、テニス、スキー等に取り組み充実した生活を送っています。

 東薬では、学部生1年生の頃からしっかりと、生物、化学、物理に関する実験知識を学生実習により学び身につけることができます。これら学生実習で培ってきた考察力や発想力が、今の職場で少なからず役立っていることは間違いありません。また、東薬の大きな魅力の一つが、学生と教員との距離が近いことです。学生時代、自分の研究テーマはもちろんですが、就職活動の際も先生たちは親身に相談にのってくださりました。大変感謝しております。今後、就職活動を迎えられる学生さん達は、さらに厳しい状況下に置かれるかもしれませんが、妥協せず、自分の信念を貫いて取り組んでいってほしいと願っております。

米倉 温 さん

2007年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境分子生物学、現応用微生物学研究室)
2009年 大学院修士課程修了(環境分子生物学、現応用微生物学研究室)
ハイモ株式会社 湘南研究センター 技術研究所 水処理薬品開発グループ 所属

 当社は高分子凝集剤を主に扱う化学薬品メーカーです。高分子凝集剤は水中の微細な粒子を凝結させ、塊にする凝集作用を示します。この作用を利用して、汚れた水をキレイにします。公共下水処理や様々な工場の排水処理に使用されています。

 また、凝集剤は製紙業界でも活躍しています。紙の製造時に、製紙原料の処理剤、パルプ等の歩留剤、という高機能性高分子として使用されています。更に凝集剤の技術を応用して、シャンプー用のポリマーやダイラタンシー性が付与されたポリマー、電気泳動ゲル、土木作業用薬剤等、多種多様なポリマーの研究・開発を行っております。

 当社の研究部門は開発研と技術研に分かれており、開発研はポリマーの研究、技術研はポリマー効果の研究を行っております。私は技術研に所属しており、使用面からポリマー開発を行っております。日本全国の工場や下水処理場から出る排水にどのようなポリマーが適合するのか机上試験を実施したり、実際に現場に出て開発品の効果を確認したりしています。ポリマーの凝集機構に関しては未知の部分が多く、研究対象として面白みを感じています。

 高分子凝剤の研究は、有機化学や高分子化学に分類され、ポリマーの重合反応などの専門知識は皆無でした。しかし、学部生時代に幅広い分野が必修科目であったことが幸いし、異分野への対応も比較的スムーズでした。ポリマー処方の考案、効果不良の原因究明の際には、研究室で学んだ理論的な考え方や実験への取り組み方が活かされています。海外のポリマーメーカーとのミーティングもあり、東薬での実践的な英語の授業も役立っています。日々真理を追究する点では学生時代と同様ですが、企業では、目先の利益も重要になります。その中で未来を見据えた研究をするのは大変な仕事ですが、やりがいは大きいと感じています。

 ハイモ株式会社は水と密接に関わる企業です。「水」は全ての生物にとってなくてはならないもので、学生時代の研究対象だったミジンコにとっては特に必要不可欠です。ミジンコは周囲の環境の変化に敏感に反応し、様々な応答をします。人が成長していく上でも周囲の環境は大切です。東京薬科大学では素晴らしい先生方、仲間たちと出会い、貴重な時間を過ごす事ができ、自然も豊かで最高な環境だったと思います。

五十嵐 章裕 さん

2003年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(生態学研究室)
2005年 大学院修士課程修了(生態学研究室)
2006年 大学院博士課程中退(生態学研究室)
アイメックス株式会社 研究開発センター、技術部 勤務

 弊社は、粉砕機・分散機・混練機などの湿式粉砕分散機の専門メーカーです。その中でもビーズミルと呼ばれる粉砕分散機は、原料をミクロン~ナノオーダーの粒子へと粉砕分散するための装置で、多くの分野で採用されています。ファンデーションには酸化亜鉛や酸化チタン微粒子、携帯電話内のセラミックコンデンサーにはチタン酸バリウム微粒子、紙の表面には炭酸カルシウム微粒子、他にも農薬原体の微粒子化やリチウムイオン電池の電極材料の分散など、皆さんの知らないところで日々稼働しています。

 私は研究開発センターと技術部の2つの部を兼務しています。研究開発センターは、文字通り新規製品の研究開発の他に、弊社製品購入前のユーザーの性能評価テスト実施が主業務です。技術部は、性能評価テスト後の具体的な受注案件の設計・製図が主業務です。東薬では生態学研究室に所属して「マイマイガの遺伝子浸透シミュレーション」を行っており、PC操作やマイマイガ飼育と、機械とは無縁の生活を送っていました。入社当初は、全くの異分野の内容から困惑の連続でしたが、今では仕事全体を把握できるまでに成長できました。東薬で学んだ知識・経験は随所で活躍し、「学びの基本」・「考えることの大切さ」はたとえ異分野に進んでも不変であると実感している毎日です。東薬生活の中で身に付く「考える力」と皆さんが持っている「好奇心」は、将来待ち受ける困難を乗り越えるのにきっと大活躍し、明るい未来を切り開くことでしょう。東薬で育まれた知恵と勇気は私の核となって根付いています。皆さんの東薬での大学生活が価値あるものとなり、東薬で学んだことが人生の大きな推進力となることを願っています。

山下 治城 さん

平成19年 大学院修士課程修了(環境ストレス生理学、現環境応用動物学研究室)
日本製紙株式会社 生産部 永豊餘造紙(揚州)有限公司 出向

 私は、2007年3月に修士課程を修了し、日本製紙株式会社岩国工場で3年間勤務後に、北京に1年間語学留学しました。そして、2012年3月から、業務提携をしている台湾の製紙会社の中国工場(揚州)に派遣されています。ここでの私の仕事は、技術スタッフとして日本の技術経験を生かし、生産工程の問題を見つけ、実際に操業現場で調査し、最善の方法を検討し、改善方法を提案・実施することです。

 世の中に極自然に存在し皆に必要とされている紙を、世界に供給する責任の一端を担っている”実感”が味わえます。紙の生産は24時間休みなく行われ、その工程は複雑でダイナミックであり、意外と人が介入する部分が多くあります。また操業現場では研究室で想定される理論通りにはならないことが多く、様々な現象が起こります。それらを見逃さずに基本原理・原則に立ち返って検証することで、新たな研究開発の種や技術そのもののブレークスルーに繋がることがあります。研究好きの私としては、生産現場は最高の研究室です。

 また操業現場作業は、多くの人と連携を取りながら実際に体を動かして行なわれることが多く、時間を費やし、汗を流してする共同作業は最高の達成感が得られます。体を動かして、大勢の人と一緒に仕事をすることが好きな人には非常におすすめです。でも、とても体力が要りますよ。最後に、この仕事では自分が開発に携わったものが、物としてすぐに日常生活に入ってきます。これこそが日用品の生産現場で働く醍醐味ではないでしょうか。

 私は東京薬科大学のアットホームな雰囲気の中、自分にとって心から好きだと思える分野を見つけ、時間を気にせずに基礎から最先端までじっくりと学ぶことができました。現在の仕事では、学生時代に身につけた専門的知識を直接活用することはありません。しかし、一つの分野をじっくり深く学ぶことで得られるスキルというのは、新たに他の分野を学ぶことや仕事をする上で必要なことと共通なことが多く、私が仕事をする上でも基礎となっています。

 また学生時代に体育会に所属し、更にその運営に直接携わりました。この経験は組織運営について、決して理論だけではなく、実践経験として今の仕事でとても役に立っています。というのは、今の仕事には多くの人に一緒に動いてもらわなければできないことがたくさんあるからです。

林 悠子 さん

平成16年 大学院修士課程修了(環境ストレス生理学、現環境応用動物学研究室)
オリンパス株式会社 研究開発知的財産部 勤務

 研究開発知的財産部では、研究開発センターに所属する開発者が研究開発する中で生まれる発明を、特許という権利に結びつける仕事を行っています。 私は東薬で学んだ生物学の知識を生かし、当センターの中でもバイオ系の開発者を知財的な面からサポートしています。特許権は法律に基づく権利なので法律の知識は必須ですが、知財部に配属されるまで全く知識はありませんでした。日々の仕事の中で勉強するうちに、より高度で正確な知識を得たいと考えるようになり、弁理士の資格取得を目指しました。

 仕事をしながら、馴染みのない法律を勉強することは大変でしたが、無事平成23年弁理士試験に合格することが出来ました。試験では選択科目があるのですが、私は東薬大学院を修了していますので、選択免除を受けることが出来ました。

 東薬では研究室で専門性を高めるだけでなく、生命科学の基礎知識を広く学べたと思います。この基礎知識は、知財部として、弁理士として活躍するに当たって、大変役に立っています。

山下 治城 さん

平成19年 大学院修士課程修了(環境ストレス生理学、現環境応用動物学研究室)
日本製紙株式会社 岩国工場 原質部 調成課 勤務

 私の所属する調成課では、原質課が製造したパルプ・炭酸カルシウムを受け取り、製品の紙に求められる性能・性質に合った製紙原料(パルプや様々な薬品)を一定の処方を元に調成(調製・調合・混合)しています。紙の生産工程は複雑にしてダイナミック、操業現場では研究室で想定される理論通りにはならないことが多いのですが、基本原理・原則に立ち返って検証することで、新たな研究開発の種や技術そのものの進歩につながるところに面白さがあります。また、操業現場では多くの人が連携を取りつつ体を動かすことが多く、共同作業による達成感も得られます。

 私は東京薬科大学のアットホームな雰囲気の中、心から好きだと思える分野を見つけ、基礎から最先端までじっくりと学ぶことができました。現在の業務では、学生時代に身に付けた専門知識を活用することはありませんが、一つの分野をじっくり深く学んだ経験は、私が仕事をする上での基礎となっています。

 東薬の生命科学部の魅力は、とてもアットホームであること。学生・教員・職員の距離が非常に近く、本人が望んで行動すれば、本当にいろいろなことができる環境に恵まれています。

堀野 葉子 さん

2000年3月 生命科学部 環境生命科学科卒業
2002年3月 大学院生命科学研究科修士課程修了(環境ストレス生理学研究室)
オリンパス株式会社 研究開発センター 診断技術開発部

 入社して4年になりますが、当初から研究開発センターで商品開発のもととなる技術の研究開発に携わってきました。当センターでは、医療機器、顕微鏡、カメラなど多岐にわたる領域を扱っていますが、その中で私は主力事業である内視鏡の研究開発を行うグループに所属し、技術の進歩に向けたがん研究を行っています。

 今までの内視鏡診断では、きれいに映し出すことや画像を撮ることに重点が置かれていましたが、今後は「生体の何をとらえるか?」が非常に重要になってきます。そうした意味で、学部時代に分子生物学、生化学、化学、生態学、生理学などによって生体を多角的に学んだ経験が、診断技術開発や治療技術開発に大きく役立っています。

 今思い出しても、東薬のカリキュラムは本当に充実していました。豊富な実習で得た技術を仕事の現場ですぐに活かすことができたのも、実戦力を身につけることに重きを置いたカリキュラムのおかげだと感じています。現在、私の専門以外のさまざまな専門家といっしょに仕事をしていますが、分野の異なる人たちとディスカッションする機会があるたび、学部時代に幅広い基礎知識を得て、実習を体験してきたことが大きな財産となっていることを実感します。

田村 英祐 さん

2005年3月 大学院修士課程修了(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室) 
2005年4月 株式会社ラボ 入社
2009年10月 日本ウォーターズ株式会社 入社

 私は日本ウォーターズ株式会社で、液体クロマトグラフィー関連製品の営業をしています。この会社は液体クロマトグラフィー関連に特化したメーカーで、全世界でトップクラスのシェアを持っています。その中で私は、分析に必要となるカラム・固相抽出・バイアル等の製品を販売しています。

 大学時代は、応用生命科学科(当時の環境生命科学科)で、環境応答生物学研究室(現環境応答植物学研究室)に在籍していました。学部から修士課程まで、遺伝子を変異させた藻類の脂質分析をしていました。変異した遺伝子の塩基配列を調べるため、PCR・DNAシークエンサーを使用し、また脂質分析にガスクロマトグラフィーを使用していました。

 大学卒業後、研究関連製品の販売店で、研究に必要な消耗品・試薬・装置の営業を行っていました。その中で、更に専門的な知識を持って、研究者の方に深い提案をできる仕事をしたいと思い、メーカーである日本ウォーターズに転職しました。実は大学時代、液体クロマトグラフィーは学生実習で触れる程度でした。日本ウォーターズに入ってから勉強し、お客様と意見交換をしながら、最適な提案を出来るようになってきています。

 現在は液体クロマトグラフィーを使用している全ての分野(製薬・食品・環境・化学工業・大学・官公庁ETC)のお客様に、営業をしています。刻々と変わっていく各分野の状況・それに対する自社の新製品等の情報を、自分の中で学習・消化しながら仕事をする必要があります。本当に日々勉強ですが、それが楽しいと感じています。

 未知の分野であっても、苦手意識なく挑戦できる。この姿勢は大学で学びました。東京薬科大学は、本当に幅広い分野を学べます。先生方は各分野でのエキスパートですし、研究設備は多種多様なものが揃っています。自分の将来の可能性を拡げられるいい大学だと思います。

長島 祥晃 さん

平成23年 大学院修士課程修了 (環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
株式会社IHI検査計測  勤務

 私は今、IHI検査計測という会社で働いています。社名の通り、様々な検査・計測を行っておりその分野は、航空宇宙から環境まで及びます。その中で、私の所属する部署ではIHIの研究開発支援をしており、車、船、発電所などに使われる様々な材料の強度試験を行っています。強度試験とはどういうものかというと、材料に繰り返し力をかけて壊れるまでの回数を計測します。聞くと単純そうに思うかもしれませんが、試験片の形状が毎回異なるのでそれにあわせて試験条件を組み立てていくのでとてもやりがいのある仕事です。強度試験の他にも壊れた所の形状を顕微鏡やSEMで観察することもあります。意外と機械系の会社でも東薬で使う機器を使っていて役に立つこともよくあります。

 入社直後は、大学の研究室で行っていたテーマとは研究のテーマが大きく変わり、右も左も分からない状態でしたが、9ヶ月経った今では、簡単な試験を任されるようになりました。ここで、研究室で得た経験がとても役に立っています。研究室では、実験をしてデータが出るたびに先生とディスカッションをしていました。このときによく言われたのが、「実験の目的は何か」「細胞の状態や実験中で普段と違うところはなかったか」といったことです。ここで重要なのは、目的が分からないと注意すべきところも分からないということです。先生からしっかりアドバイスを受けていたおかげで、会社の仕事でも実験の意味、注意することは何かを常に気にしながら取り組むことができ、スムーズに進められています。また、ディスカッションを通じて、どう報告すれば相手に分かりやすく伝えられるかを考えていたので上司に対する「報・連・相」にも役立っています。

 最後に、大学時代に何でもいいので「やりきった」と思える経験をしてみてください。そこで得た人間関係や考え方はきっと、どの分野でも役に立つと思いますよ。

大貫 晋平 さん

平成21年 大学院博士課程修了(環境分子生物学、現応用微生物学研究室)
株式会社日曹分析センター 小田原事業所 第二研究部 勤務

 日本曹達のグループ会社である日曹分析センターは化学物質の分析を受託する会社で、化学物質の物理化学的性質、医薬品の血中濃度、農薬の作物残留量、無機素材の性質などを分析しています。私の業務は、主に農薬やその代謝物の環境への毒性調査で、被検物質を溶解させた水で魚類やミジンコや藻類を飼育し、それら生物への影響から毒性値を算出しています。有害化学物質が環境中に放たれるのを防止することにつながるこの業務に誇りを持っていますが、将来的には新しい試験法の確立や毒性が生じるメカニズム解析などの「研究」に取り組みたいという希望を抱いています。

 東薬では、学生実習で生物・物理・化学に関する実験を経験し、今の仕事に役立つ実験操作を幅広く習得しました。また、友達とテニスのサークルを立ち上げ、その過程で「組織」の考え方を身に付けることができたのも、社会人としての強い武器になっています。

 生命科学部の学生は食品や製薬関連業界を中心に志望する傾向にあるようですが、生命科学部で学ぶことは、「科学」に関するほとんど全ての業界で活かせるはずなので、後輩たちには自信を持っていろいろな世界にチャレンジしてほしいと思います。

山田 樹里 さん

2009年3月 生命科学部 環境生命科学科卒業(環境分子生物学研究室)
株式会社 三井化学分析センター 材料物性研究部 物性解析G 勤務

 材料物性研究部物性解析Gでは、おもにプラスチックの硬さ、柔らかさ、熱に対する強さなどの性質について分析を行っており、私はプラスチックの電気特性や熱特性を調べる仕事を担当しています。

 ひと口に分析といっても、その手法はさまざまです。電気や熱分野だけでも何通りもありますし、基本的なものから応用的なものまで多岐にわたります。毎日、先輩社員に教わり、メモを取り、自分でやってみるの繰り返しですが、きちんと覚えられたときはうれしくて自分を褒めてあげたくなります。また、顧客と相談して今までにない分析法を考えるときなども、難しいけれど未知の世界に飛び込んでいるようでワクワクします。

 私は学部の専攻とは違う化学系の会社に入りましたが、1~3年で学んだ有機化学、無機化学、分析化学、数学、物理学、物理化学などの基礎知識が現在の仕事に活きています。今でもわからないことがあると、学生時代に使っていた教科書やノートを引っぱり出しては読み直しています。また、仕事で外国の方と交流する機会があるのですが、授業で「読む、書く、聞く、話す」をバランスよく学び、海外研修でたくさんの英語に触れる経験をしてきたことで、他言語に関わることに抵抗がなくなったことも、東薬で学んだおかげだと思っています。

土田 進也 さん

平成12年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業 (環境応答生物学研究室、現・環境応答植物学研究室)
株式会社 土田組 専務取締役
NPO法人 亀田ジュニサポ 理事長

 私が東京薬科大学の生命科学部を受験し入学したのは、「砂漠の緑化」について興味があり、漠然としてですが将来は環境ビジネスに取り組んでみたいと考えたからです。

 しかし私の実家が大正2年から続く建設業を営んでおり長男ということもあって、東京で数年働いたのち全く畑違いの職業に就くことになってしまいUターン後の数年は現場作業や施工管理の仕事を覚え、近年は経営に重きをおいております。

 一見、建設業は2020年の東京オリンピックや東日本などの震災復興で華やかに見えますが地方経済は先の見えない厳しい状況と向かい合っています。

 その中で他社との差別化を図りながら自分の興味があった環境ビジネスとしてトース土工法(透水性保水型土系舗装)を会社で取り組んでおります。この工法は、簡単に説明すると透水性と保水性の機能を持ち、雨水流出抑制及びヒートアイランド現象抑制の働きをする土系の舗装工法です。新潟県でも格式のある弥彦神社などでも施工させていただきました。

トース土工法のイメージ

 

 また、地元の商工会議所青年部に所属していることもあり子ども達と接する機会も多く、地元密着の仕事をしているので地域貢献出来ないかと考え、地域の子ども達が夢を実現するためのお手伝いをするためのNPO法人を仲間たちと設立しました。

 この法人は、子どもたちの主体的な学び、自立的な成長を支援するための活動拠点を提供し、行政、企業、地域の諸団体、地域住民とも連携しながら子どもたちによる地域活性化事業へと繋げ、次代の担い手として地域貢献できる子どもたちの創出を目的としています。

 最後に、大学入学した目的は「砂漠の緑化」でしたが、今は建設業の仕事で地元のために、NPO活動で未来の宝である子ども達のために、緑とともに笑顔溢れる街づくりへ環境保全・地域貢献目指して頑張っていきます。

NPO法人亀田ジュニサポ

 

  

大野 貴子 さん

平成10年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
鹿島建設株式会社 技術研究所 勤務

 子供の頃から植物や生物が好きな事もあり、将来は環境に携わる仕事がしたいという思いから、東京薬科大学の生命科学部応用生命科学科(当時は環境生命科学科)に入学しました。大学では環境分野について幅広く勉強でき、実習を少人数で長時間かけて行うカリキュラムであったため、一つの課題に対して深く取り組むことができました。大学4年生の時に環境応答生物学研究室(現環境応答植物学研究室)に入り、他の研究室と共同でサンゴに共生している藻類の単離培養に取り組みました。1年間という研究期間は大変短いものでしたが、サンゴが元気な状態でサンプリングをするために西表島にて実験する等貴重な体験をしました。また同時に人間の都合ではなく、生物の状態(自然状態)にあわせる大切さも教えてもらいました。

 そして今は、植物工場プロジェクトにて漢方薬原料である甘草の水耕栽培技術の研究をすすめています。植物工場の利点は屋外ではなく人工環境下での植物栽培が可能なため、作物を安全にまた天候に左右されずに安定供給できることです。そのメリットを生かせる作物として、当社では遺伝子組み換え作物や漢方薬原料について研究を進めており、検討作物の一つとして甘草の研究を行っています。

 甘草は一般的な作物と異なり、人間の都合にあわせて生育してくれることはなかなかありません。そのため実験当初は大変苦労しました。しかしながら、検討の甲斐もあって、甘草の水耕栽培に成功*することができました。

 目標を一つ達成することができても、また新しい課題が発生するため研究に終わりはありません。また世の中の環境も刻々と変化していくため、取り組むべき問題点はたくさんわいてきます。これからも大学時代に学んだ「課題に深く取り組むこと」と「生物や自然環境にあわせること」を忘れずに、人と生物が共生できる社会をつくることに貢献していければと考えています。

 

* 甘草の水耕栽培システム開発に成功
鹿島建設株式会社プレスリリース
http://www.kajima.co.jp/news/press/201010/28e1-j.htm
http://www.kajima.co.jp/news/press/201109/20e1-j.htm
鹿島建設HP 月報KAJIMAダイジェスト
http://www.kajima.co.jp/news/digest/feb_2011/searching/index-j.html

松塚 悟 さん

2013年3月 大学院修士課程修了(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室) 
2013年4月 株式会社電産 入社

 私は東京薬科大学の近くで育ちました。小さい頃から薬祭にお邪魔させてもらっていたせいか、私の中で大学といえば東京薬科大学がイメージ像でした。また、中学時代の理科の先生の影響で生物に関して興味を持ったこともあり、受験シーズンになった時もやはり第一志望は東京薬科大学でした。元々理系科目が苦手だったので色々苦労はしましたが、無事東京薬科大学に進学してからは非常に多くのことを学ばせてもらいました。その中でやはり実習が非常に印象的でした。フィールドワークからパソコンを扱うものまで色々な種類の実習があり、そしてそれらもさらにシンプルなものから複雑極まりない内容までと多岐に渡ります。しかし先生方や院生の方が親身になって質問に答えてくれるので、どの実習も苦手意識を持つことなくむしろ非常に好奇心を持って実習を受けることができました。

 大学自体の設備も充実していながら、すぐそばには桜が綺麗な自然があります(その他 松塚君撮影のキャンパス内の植物はこちらから)。夏には蛍を見ることだってできます。このような自然に囲まれた環境で生命を学べるということは、学んだ事を身近に感じ、新しい疑問に気づかせてくれてるので、さらに生命というものに興味が湧いてきました。

 研究室に配属された大学4年生、そして大学院生活は本当に試行錯誤の繰り返しでした。何故ならここで本当の研究に出会うからです。そこで問われているものは今までの知識以上に、立ちはだかる問題を自分でどう回避し乗り越えて行くかということだと感じました。先生方や先輩方にゼミで資料を作成し、報告する機会も貴重な経験でした。先生方が学生の力を引き延ばそうとしてくれる質問を下さるので、それに答えるうちに自ずと論理的な思考を身につけていけたと感じています。(左:卒論、修論、思い出のアルバムCDジャケット 真ん中が松塚君)

 現在、私は縁あってITの世界にいます。それも組み込みというハードウェアとソフトウェア両方が密接に関わった非常に専門的な分野です。残念ながら学んだことの多くがすぐに役に立つとは言えません。それでも楽しくやって行けるのは、自分が持っているものが知識だけではなかったからだと信じています。それは研究室で培った考え方や報告、資料作成などが社会でも十分役に立つほど重要だったことを意味しています。

 受験生の皆さんは、どの大学がいいか悩まれている時期でしょう。そのうちの一つに我が母校が含まれていると嬉しいです。生命科学部は生命に関わる専門知識だけでなく、自ら考え行動に移すという非常に価値のある能力を伸ばす機会をいつも与えてくれます。決して無駄な大学生活にはならないのではと思います。

梅田 和宏 さん

平成13年 大学院修士課程修了 (環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
日本アジア投資株式会社 (Web site: http://www.jaic-vc.co.jp/)
JAIC Asia Holdings Pte Ltd, President and CEO
JAIC Asia Capital Pte Ltd, President and CEO
PT. JAIC Indonesia, President and CEO
JAIC (Thailand) Co., Ltd, President and CEO

 私は平成13年3月に大学院生命科学研究科(環境応答生物学研究室)を卒業し、ベンチャーキャピタル(投資銀行)の日本アジア投資株式会社(東証1部:8518)に勤務しております。現在はシンガポールに在住し、シンガポール、タイ、インドネシアの現地法人を経営しております。

 東薬の学生時代には環境応答生物学研究室に所属し、都筑教授に紹介していただいた(独)農業生物資源研究所で卒業研究をしておりました。卒業論文のテーマは「デンプンの合成機構」でした。当時は朝8時から夜10時くらいまで先輩方のご指導を受けながら集中して研究、勉強した時期でした。一方、時間ができると他の研究室を遊び回っており、先輩方に大変よくしていただいたのを覚えています。そのまま修士課程に進み、東薬に戻り今度は自分で単離した遺伝子を大腸菌で発現させ、その産生物の解析をしておりました。その間、遺伝子特許も取得しました。環境応答生物学研究室では多くの学生が在籍する中、実験機器の台数が限られているので早朝組、昼組、深夜組と時間で住み分けをして仲良く実験したのを覚えています。とても多様性に富んだ仲間が集っており、就職先も私のような金融会社から宇宙開発、ベンチャー、消防官、アパレル、飲食、マスコミ、自由業、環境保護団体、大学助手、環境計測会社、製薬企業、出版社、コンサル、食品会社、建設会社など様々でした。皆、各ジャンルで頭角を現し始めており同級生としてとても頼もしいです。

 一方、私は2年前にシリコンバレーから戻り、最近はシンガポールから新興国のベンチャー企業やエネルギープロジェクトに投資を実行しています。投資先の発掘、Due diligence、条件交渉、契約締結、投資先のバリューアップ、exitまでをマルチナショナルな社員と共にとてもエキサイティングな日々を過ごしています。5年以内に次のGoogle, Facebookを世に送り込めるようにがんばっています。

 最後に東薬の在校生の皆さんに私が住んでいた当時、シリコンバレーの起業家、学生、老若男女を問わず隅々にまで浸透していた言葉でいつの間にか私にも染み込んでしまった言葉を贈ります。「Change the world」。 今の時代の向かい風を揚力に変換し、世界に羽ばたいてください。

 

著者が仕掛けたDuPont家とのdealについては下記bloomberg 2010年9月27日号参照

http://www.bloomberg.com/news/2010-09-27/benjamin-dupont-s-yet2-com-raises-100-million-ties-up-with-japan-venture.html

臼井 基樹 さん

平成10年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境応答生物学、現環境応答植物学研究室)
平成13年 九州大学大学院農学研究科大学院修士課程中退
株式会社グローバル・ウィングス 代表取締役
株式会社バックストリートファクトリー 代表取締役

 これから大学受験を目指すみなさんこんにちは。東京薬科大学生命科学部第1期生の臼井と申します。私は現在2社の会社経営に携わっております。それぞれ自分が創業者という立場で事業経営を行っております。元来、サラリーマンという職種がまったく向いていないと感じていたことや、自分の道を歩くのが好きだったせいか、おのずとこの道を歩み始めようと思いました。とはいえ、順風満帆とは言えない紆余曲折を経ての現在なのですが!!そんな話をちょっとお聞きいただけますか?

 都筑教授(当研究室教授)のお薦めをいただき、大学4年の卒業論文を筑波にある生物資源研究所というところでお世話になりました。すばらしい指導教官や仲間に恵まれ、有意義な一年間を送ることができました。その後、九州大学の大学院に進みましたが、自分の力不足と根気のなさが原因で中退することになりました。ここが一回目の人生のターニングポイントでした。(今ではこのときの経験が絶大に活きています。)

 2年間ほど引きこもりとニート生活を送り、まったく自分に自信が持てない20代前半を過ごしました。その後、アルバイトをしながら、貯めたお金で世界一周の旅に出ました。そこで出会った人脈や商品をもとに事業を行おうと思いましたが、資金不足、経験不足、家族の反対、ついでに今の奥さん(当時は彼女)の反対もあり、その時点では起業ができませんでした。そこで四国の香川県の田舎町に単身乗り込み、丁稚奉公にはげみました。もともと人と接することが好きだったこともあり、営業という天職に恵まれ、大学の勉強とはまったく違った形ですが、当時の会社社長にぴったりとひっついては、社長の営業力を学びとり、今の事業の基礎力を付けました。4年半で1000万円!!それなりの起業に必要なスキルと営業力!!家族皆の同意!!を得て、31歳の時に独立しました。

 最初に行ったビジネスが四国の農家さんと提携してイチゴの通信販売を行いました。私の事業計画の甘さが原因で、これはあえなく失敗に終わり、数百万円を勉強代として吸い上げられました。(とほほ) 資金も残り数十万円という時に一つのチャンスがやってきます。あきらめないとチャンスって来るものですね。当時からお世話になっていたビジネスの師がインドネシアに住んでおり、「こちらには色々なチャンスがあるから一度遊びに来なさい」というさりげない出来事がきっかけで、ピンチがチャンスと変わりました。藁にもすがる思いで、とにかく航空券を手に入れて、インドネシアに飛びました。そこで出会ったのが創業期を支えてくれたジュエリービジネスでした。インドネシアから有名デザイナーが創ったシルバージュエリーを輸入し、日本のお客様に販売することから始めました。これがきっかけで、事業を大きく伸ばしていく土台を作らせていただきました。人のご縁がピンチをチャンスに変えていただけた2回目のターニングポイントでした。

 事業を始めてから9年が過ぎました。今では国内ではプラチナ、ゴールドのジュエリー工房を作り、インドネシアにもシルバージュエリー工房を作り、専属の職人さんと日々新作のジュエリーを製作する「ものつくり」に携わっております。もう一つの会社でも東京にある下町の町工場の社長たちとタッグを組み、今までにない新しいアイデアの最新文具を作っています。今まで下請けしかしてこなかった町工場の技術力を結集し、世の中のお客様に本当に喜んでいただける商品を作ろうと励んでいます。お陰さまで大手の文具店、書店さんでも導入され、日本全国のお客様とつながるビジネスモデルが構築されています。まあ長々と話をしましたが、みなさんに言いたいことがあります。

 「人生を活かすための基礎力」を身につけろ!!
大学は楽しく学ぶところだと思います。勉強が大好きなら勉強をいっぱいし!!友達と一緒に楽しい時間を過ごし!!彼女との時間を満喫する!!そんな中で人生に一番役立つのが「コミュニケーション能力を磨くこと」です。人との会話や対話を大事にし、コミュニケーションの大事さを学んでください。社会に出たときに一番必要となることはこの力です。生命科学部のいいところはこのコミュニケーション力を色々な形で伸ばしていただける事です。少数精鋭の仲間たちとの濃密な時間!!最先端の科学を学びながら論理的な思考と考察ができるようになった!!学校主催の語学留学でアメリカでもトップ5の大学に短期留学出来、科学先進国アメリカの実情を肌で感じた!!何よりも都筑教授や藤原准教授がお父さんお母さんのように親身に私の将来を考えてくれる!!(これは現在進行形)

 うちの卒業生は変わったやつが多いといわれます。それは皆が個性を伸ばしているからだと思います。あなたの個性を伸ばし、自分らしい素敵な人生をおくる!!そのためにはいい学校かなと思います。
 
 卒業してからも時々、研究室にお邪魔しています。これから新規事業でバイオ系の事業を立ち上げます。さらに頻繁に母校にうかがうことが多くなると思います。(先生お助けを!!)ぜひ、将来の東薬生の皆さんにお会いできることを楽しみにしています。その中に我が社のスタッフがいるなんてとっても素敵だと思います。ありがとうございました。

山木 幸介 さん

平成13年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(環境分子生物学、現応用微生物学研究室)
三つ豆ファーム 経営

 私は千葉県山武市で三つ豆ファームという農場を経営して9年目を迎える新規参入農家です。2,5HAほどの畑を使って、農薬、化学肥料を使わない栽培で年間40種類ほどの作物を栽培しています。両親が農家でもない私が、農業で生計を立てよう!と決心したのは北インドはパキスタンとの国境の町カシミール。湖に浮かぶボートの上でした。大学卒業後進学した筑波大学大学院では微生物を利用した水処理の研究をし、修士課程を修了しましたが、本当に熱中できるものがほかにあるのでは?という思いを捨てきれずに飛び出したアジア放浪の旅の道中の事です。この旅の一番の収穫は心底自分と向き合うことができたこと。おかげで一生の仕事と言えるものを見つけることができました。学生の皆さんにも国内、国外問わず一人旅に出ることをお勧めします。一人の旅は、体は外へ、心は内への旅となります。若いうちにじっくりと自分を見つめる経験は後に大きな財産となることでしょう。そしてその時はぜひお気に入りの本を数冊持っていくことをお勧めします。読書は旅を深め、旅は読書を深めます。実際の旅と読書の旅は表裏一体なんですね。

 今から思うと無限にあった学生時代の時間。ぜひともどんどん外へ出て、心の内側へ旅をして、素敵な人や素敵な本に出会っていってください。(東薬ニュースレター 2013. 8月号より)

丸 幸弘 さん

2001年3月 環境生命科学科(現応用生命科学科)環境応答生物学研究室 卒業
2006年3月 東京大学大学院 農学生命科学研究科 博士課程 修了
株式会社リバネス 代表取締役CEO
株式会社ユーグレナ 技術顧問
NHK総合テレビ「堂本光一のちょこっとサイエンス」にもサイエンスサポーターとして出演。

 私は、1997年に東京薬科大学の生命科学部に入学し、2001年に卒業しました。4年次に所属した環境応答生物学研究室(現・環境応答植物学研究室)では微細藻類の糖脂質SQDGに関する研究を行っていました。昼過ぎに登校し本格的に実験を始めるのは夜で、一晩中実験をして、研究室の床で寝る。そして朝、出勤された都筑幹夫先生に、床に転がっているところを見つかるのですが、そこからディスカッションが始まります。話題は、社会のこと、教育のこと、将来のことなど、さまざまでした。それが終わると、私はやっと家に帰る。いま思うと、はた迷惑な生活を送っていました。この時の研究経験や先生からの教えは、今の私の経営哲学や、経営する企業の事業内容にも深く影響しています。

 東薬を卒業した後、東京大学大学院 農学生命科学研究科に進み、そこでも研究の日々を過ごしていました。その中で、子どもの理科離れ、そしてポスドク問題といった研究者の報われない姿に触れ、自分たち研究者が活躍できる社会をつくりたい、研究活動や科学技術の発展をともに推し進める仲間をつくりたい、と強く思い、修士2年の2002年6月、東薬、東大、東工大の仲間と有限会社リバネス(現株式会社リバネス)を設立しました。研究室で毎日自分たちが行っている研究のおもしろさを子どもにも伝えることで、子どもたちも、伝える側の自分たちも育っていく場所にしようと、Leave a Nest(巣立ち)を社名にしたのです。

 また、藻類の研究を通じて、出雲充さん、鈴木健吾さんと出会い「藻類ベンチャー」をやろう意気投合し、2004年から準備を始め、2005年の8月にユーグレナを設立、技術顧問として参画しました。ユーグレナの設立当初も、3人でよく都筑先生に会いに行って、藻類の大量培養方法などについて、勉強させていただきました。(今、出雲さんは同社代表取締役、鈴木さんは取締役として活躍しています)

 リバネスとユーグレナ、そして都筑研とは、とても深い縁があります。研究室の後輩だった立花さんは2008年、村井さんは2011年にリバネスに入社し今も在職中、そして朝山君はリバネスにインターンとして参加したのち2009年にユーグレナに入社し、今は研究開発のリーダーとして活躍しています。この2つの企業の基盤は、都筑研で培われた研究経験と人材であると言っても過言ではないと思います。

 リバネスは現在、従業員数44名、教育開発、人材開発、研究開発、メディア開発、地域開発、戦略開発の6つの事業を軸に、東京、大阪、沖縄の国内事業所のみならず、アメリカ、シンガポールに拠点を設け、最近は、インドネシア、マレーシアへも活動範囲を広げています。一方ユーグレナ社は、設立から7年、2012年の12月20日にマザーズに上場するまでに成長しました。

 都筑先生の口ぐせは「まあ、とにかくやってみれば」。私はまず行動せよ、ということを都筑先生から学びました。卒業してからもう10年以上が経ちますが、年に数回は研究室を訪問すると、先生はいつも笑顔で迎えてくれ、相変わらずのディスカッションに付き合ってくださいます。私はこの、かけがえのない場をこれからも大事にしていきたいと思っています。

 都筑研から、リバネスとユーグレナという2つの企業が誕生しましたが、私はこれからももっと、様々なものが生まれる場所になってほしいと思います。在校生と卒業生、そして先生のネットワークやコミュニケーションから生まれるものは沢山ありますので、研究室のみなさんは、私が訪問した際には、ぜひ声をかけてください。また、高校生のみなさんは、新しいものが生まれる研究室に、気軽に遊びに来てください。そして一緒に、何か新しいことを始めませんか。

坂田 武範 さん

2004年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(生態学研究室)
農業

 夫婦で、農薬・化学肥料を使用しない有機農業に取り組んでいます。そうは言っても、まだ独立して間もない、新米農家です。

 3年前、農業の道に進むことを決め、両親に話したところ、大反対されました。

「なんのために大学にいかせてやったと思ってるんだ!」

 大学を卒業後、2年間企業で働くものの退職し、青年海外協力隊に参加しアフリカへ。やっと帰ってきたと思ったら今度は“農業やります”宣言。学費を払った親としては、当然沸き起こる気持ちかもしれません。

 でも、私にとっては、繋がっているんです。東京薬科大学に進んだこと、そしてその後時を経て、農業を職業とすること。大学時代があったからこそ、青年海外協力隊に参加したいと考えるようになったし、農業というものに興味を抱くようになりました。

 色んなことへの挑戦、色んな人との出会い。自分の可能性にワクワクし、また一方で、自分の弱さに情けなくなることも度々あった学生生活。それらの全てが、今の私を支えてくれています。

笠原 綾 さん

2001年 環境生命科学科(現応用生命科学科)卒業(生態学研究室)
フリー スポーツ・インストラクター

 生態学研究室で学んだ一年間は貴重な体験をさせて頂きました。卒業研究のテーマは、森林の成長量から二酸化炭素固定量を算出するものでしたので、フィールドでの定期的な測定や山奥から研究対象を採取したりと研究室内にとどまらず自然と直接向き合い、肌で感じながら環境について研究をするという理想の研究室でした。フィールドワークは自分の研究以外にも友人達のものを手伝い自然と仲間意識も高まり、四年生の一年間でしたが教授と同期の仲も良くとても楽しい充実した時間でした。

 現在、私は大学で学んだ分野とは少し離れたスポーツトレーナーとして健康に携わる職についています。ケガをした方が日常生活を過ごせるように、更にはスポーツを行える状態まで復帰させることや、高齢者の介護予防のために運動を指導する仕事です。様々な症例に対応するため日々勉強の毎日ですが、クライアントの希望にそった結果がでて感謝の言葉を頂くと、遣り甲斐のある仕事だと実感します。生物学が好きでスポーツも好き、人と接することも大好きな私が健康を通じて社会貢献できている今があるのは大学時代に出会った方々のおかげです。

 大学で生命科学を学び人と繋がりを経て今のスポーツ科学を追求するきっかけになったのだと思います。とにかく色々なことに興味をむけさせてくれる素敵な学科です!